
くしゃみをした拍子に、笑った拍子に、尿が漏れてしまう感覚に戸惑った経験はありませんか。「歳のせいだから仕方ない」とあきらめる前に知っておきたいのが、尿漏れは原因に応じたケアによって改善が期待できるという点です。
この記事では尿漏れの原因やタイプの見分け方、セルフケアの方法、医療機関で受けられる治療法までを解説します。
尿漏れは改善できる?まず知っておきたい考え方
尿漏れは「年齢だから仕方がない」と諦めてしまいがちな症状ですが、原因に合わせた対策によって改善を目指せるケースが多くあります。セルフケアだけで軽くなる方もいれば、医療機関での治療を組み合わせることでより効果を実感しやすくなる方もいます。まずは自分の尿漏れがどのようなタイプで、どこに原因があるのかを知ることが改善への第一歩です。
尿漏れの主な原因

尿漏れの原因は一つとは限らず、複数の要因が重なって起こっているケースもあります。代表的な原因を挙げてみました。
骨盤底筋の緩み
膀胱や尿道を支える骨盤底筋がゆるむと、お腹に力が入ったときに尿道を締め切れず、尿が漏れやすくなります。加齢による自然な筋力低下に加え、経腟分娩による組織への負担も、骨盤底筋がゆるむ大きな要因です。
女性ホルモンの変化
閉経前後にエストロゲンの分泌が減ると、尿道や膣まわりの粘膜の弾力が失われ、尿道を閉じる力が弱まりやすくなります。更年期以降に尿漏れを自覚する方が増えるのは、このホルモンバランスの変化も関係しています。
生活習慣による影響
肥満や便秘によるいきみは腹圧を高め、尿漏れの原因になります。カフェインやアルコールの摂りすぎは膀胱を刺激しやすく、水分の摂り方にも注意が必要です。姿勢のくせや運動不足も、骨盤底筋の働きに影響を与えます。
ストレスなど心理的な要因
緊張や不安が続くと自律神経のバランスが乱れ、膀胱が過敏になって尿意を感じやすくなることがあります。「また漏れるかもしれない」という不安自体が外出や運動を控えるきっかけになり、生活の質を下げてしまう場合もあるため、心身両面からのケアが役立ちます。
尿漏れのタイプを確認しよう
自分の尿漏れがどのタイプに近いかを知ることで、適した対策を選びやすくなります。日本泌尿器科学会の情報をもとに整理すると、尿失禁は主に次のように分類されます。
| タイプ | きっかけ | 主な原因 |
| 腹圧性尿失禁 | くしゃみ、咳、運動、重い物を持つ | 骨盤底筋の緩み |
| 切迫性尿失禁 | 急な強い尿意 | 膀胱の過剰な収縮 |
| 混合性尿失禁 | 腹圧時と急な尿意の両方 | 腹圧性と切迫性が併存 |
| 溢流性尿失禁 | 排尿しにくく少しずつ漏れる | 排尿困難(前立腺肥大など) |
| 機能性尿失禁 | 尿意はあるがトイレに間に合わない | 身体機能や認知機能の低下 |
女性に最も多いのは腹圧性尿失禁で、40歳以上の女性の4割以上が尿失禁を経験しているとされています。思い当たるタイプがあれば、次の章で紹介するセルフケアを試したうえで、改善しにくい場合は医療機関に相談することをおすすめします。
自分でできる改善方法(セルフケア)
タイプによって効果的なセルフケアは異なりますが、多くの方に取り入れやすい方法を紹介します。
骨盤底筋トレーニング
肛門・膣・尿道を意識してキュッと締め、5秒ほどキープしてからゆっくり力を抜く動作を、1日10回程度・2〜3セット行います。腹圧性尿失禁を中心に、数週間から数カ月の継続で変化を感じやすくなるといわれています。
基本のやり方は次のとおりです。

1. 仰向けやいすに座った姿勢で、お腹や太ももの力を抜く
2. 肛門・膣・尿道の周りをゆっくり締め、5秒ほどキープする
3. 締めた時間と同じくらいかけて、ゆっくり力を抜く
4. これを10回ほど繰り返し、1日2〜3セットを目安に続ける
締める感覚がつかみにくい場合は、排尿を途中で止めるときに使う筋肉をイメージすると分かりやすくなります。
関連記事:骨盤底筋トレーニングのやり方と効果|女性の尿もれ・頻尿改善法
膀胱訓練
急な尿意を感じても少しずつ我慢する時間を延ばし、膀胱にためられる尿量を増やしていくトレーニングです。切迫性尿失禁の症状がある方に取り入れられることが多い方法です。
生活習慣の見直し
水分は控えすぎず、こまめに適量を摂ることが基本です。カフェインを含む飲み物を控える、便秘を改善する、適正体重を維持するといった工夫も、腹圧を減らし膀胱への負担を和らげることにつながります。
病院で受けられる治療法
セルフケアを続けても改善を感じにくい場合や、症状が生活に影響している場合は、医療機関での治療も検討しましょう。セルフケアと医療機関での対応の違いは以下の通りです。
| 対策 | 向いているケース | 特徴 |
| セルフケア(トレーニング・生活習慣) | 症状が軽度〜中等度の方 | 費用をかけずに始めやすいが、効果を感じるまで時間がかかる |
| 薬物療法 | 切迫性の症状が中心の方 | 膀胱の過剰な収縮を薬で抑える |
| 磁気刺激治療 | 自力での継続が難しい方 | 通院で骨盤底筋にアプローチできる |
| 手術療法 | 保存的治療で改善しにくい方 | 尿道や膀胱を支える構造そのものにアプローチする |
薬物療法
切迫性尿失禁など、膀胱の過剰な収縮が関係するタイプでは、膀胱の働きを整える薬が用いられることがあります。症状や体質に合わせて医師が処方を検討します。
関連記事:頻尿の治療薬とは|種類・効果・副作用と薬以外の選択肢【医師監修】
磁気刺激治療「スターフォーマー」

椅子に座るだけで高強度の磁気刺激により骨盤底筋を収縮させる治療機器で、当院でも導入しています。自己流のトレーニングを継続するのが難しい方の選択肢に加えられます。詳しい治療内容や費用は下記のページをご覧ください。なお、スターフォーマーは保険適用外の自由診療であり、効果や改善の程度には個人差があります。
👉 スターフォーマーについて詳しく見る
手術療法
保存的な治療で改善が難しい腹圧性尿失禁に対しては、尿道や膀胱を支える手術療法が検討されることもあります。溢流性尿失禁のように排尿困難が背景にある場合は、原因疾患そのものへの治療が優先されます。
当院の受診について詳しく知りたい方は、排尿のお悩み(症状診断)ページもあわせてご覧ください。
何科を受診すればいい?受診の目安

尿漏れについて相談する場合、まず候補となるのは泌尿器科です。女性の場合は婦人科でも相談できますが、排尿機能を専門的に扱っているのは泌尿器科です。パッドが手放せない、外出を控えるようになったなど生活の質に影響が出てきた場合や、血尿・排尿時の痛みなど他の症状を伴う場合は、早めの受診を検討してください。
まとめ
尿漏れは原因やタイプによって適した対策が異なり、多くの場合は骨盤底筋トレーニングをはじめとするセルフケアや、医療機関での治療によって改善を目指せます。「歳のせい」と我慢する前に、まずは自分の症状のタイプを確認し、必要に応じて泌尿器科へ相談してみてください。
「このまま治らないのでは」と不安になっていませんか?まずはお気軽にご相談ください。
スターフォーマーは自由診療(保険適用外)です。施術費用の目安は1回8,000円〜(お試し1回5,000円、通常価格・コース料金は公式ページをご参照ください)、1コースは週2回×4週間(計8回)が目安です。まれに軽い筋肉痛のような症状が出ることがあります。
また、体内にペースメーカーや金属インプラントが入っている方、妊娠中の方などは施術を受けられない場合がありますので、事前に医師にご相談ください。
なお、スターフォーマー(FOTONA社製)は、日本国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器です。米国FDA(食品医薬品局)の認可、およびEU(欧州連合)での医療機器認証(CEマーキング)を取得しています。当院では医師の判断のもと、個人輸入により導入し、自由診療として提供しております。効果には個人差があり、主なリスク・副作用については診察時に医師が十分にご説明します。
監修者
足立 浩幸
院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科
泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。

