
頻尿の治療には、症状のタイプに応じたさまざまな薬が使われます。しかし、どんな薬があるのか、どのような効果や副作用があるのか分からず不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、過活動膀胱や前立腺肥大症で処方される代表的な治療薬の種類と作用の仕組み、注意すべき副作用、さらに薬以外の選択肢について、泌尿器科医の視点で解説します。
頻尿の治療薬、どんな種類がある?

原因によって使う薬が異なる
頻尿の治療薬は、「どの原因に対してアプローチするか」によって種類が大きく変わります。代表的な組み合わせは次の通りです。
| 頻尿の主な原因 | 使われる代表的な薬の分類 |
| 過活動膀胱 | 抗コリン薬、β3作動薬 |
| 前立腺肥大症(男性) | α1遮断薬、5α還元酵素阻害薬、PDE5阻害薬 |
| 夜間多尿 | 抗利尿ホルモン薬(デスモプレシン) |
どの薬が自分に合うかは、原因の特定と医師の判断によって決まります。まずは原因をはっきりさせることが、適切な薬物治療への第一歩です。
過活動膀胱に使われる薬
過活動膀胱は、膀胱が勝手に収縮してしまい、急に強い尿意(尿意切迫感)を感じたり、頻尿になったりする病気です。治療薬は主に以下の2種類があります。
抗コリン薬
膀胱の筋肉にあるムスカリン受容体をブロックすることで、膀胱の過剰な収縮を抑える薬です。過活動膀胱の治療薬として古くから使われてきた実績があります。
膀胱を落ち着かせて「溜める力」を回復させることで、尿意切迫感や頻尿を改善します。ただし、ムスカリン受容体は膀胱以外(唾液腺、腸、目など)にも存在するため、後述する副作用に注意が必要です。
β3作動薬
膀胱の筋肉にあるβ3受容体を刺激して、膀胱を弛緩させる(広げる)ことで蓄尿機能を高める薬です。抗コリン薬とは異なる仕組みで働くため、抗コリン薬の副作用(口の渇き・便秘など)が出にくいとされています。
近年は過活動膀胱の第一選択薬として用いられることも増えており、日本泌尿器科学会の過活動膀胱診療ガイドライン(第3版)でも、抗コリン薬とともに薬物療法の中心として位置づけられています。
(出典:過活動膀胱診療ガイドライン第3版/Mindsガイドラインライブラリ)
| 分類 | 作用の仕組み | 主な特徴 |
| 抗コリン薬 | 膀胱の過剰な収縮を抑える | 歴史が長い、口の渇き・便秘が出やすい |
| β3作動薬 | 膀胱を広げて溜める力を高める | 口の渇き・便秘が少ない、近年使用が増加 |
前立腺肥大症に使われる薬
前立腺肥大症による頻尿は、主に男性に見られます。肥大した前立腺が尿道を圧迫し、排尿困難や頻尿を引き起こすため、以下の薬でアプローチします。
α1遮断薬
前立腺や尿道の平滑筋を弛緩させ、尿道の圧迫を緩めて尿を出しやすくする薬です。前立腺肥大症の薬物療法で最もよく使われており、効果の発現が速く、数日〜1週間程度で症状の改善が感じられることが多いとされています。
主な副作用として起立性低血圧(立ちくらみ)やめまいがあるため、特に降圧薬を併用している方は注意が必要です。
5α還元酵素阻害薬
男性ホルモン(テストステロン)から、前立腺を肥大させるジヒドロテストステロンへの変換を阻害することで、前立腺そのものを縮小させる薬です。効果が現れるまでに数か月〜半年程度かかりますが、前立腺の体積が大きい方(30mL以上)に対して長期的な改善が期待できます。
注意点として、PSA(前立腺特異抗原)の値を約半分に低下させるため、前立腺がんのスクリーニング時にはPSA値を2倍にして評価する必要があります。服用中はこの点を担当医に伝えてください。
PDE5阻害薬
前立腺や尿道の平滑筋を弛緩させ、血流を改善することで下部尿路症状を軽減する薬です。2014年に前立腺肥大症の治療薬として保険適用となりました。勃起障害(ED)の治療にも使われる薬のため、排尿症状と勃起機能の両方に悩みがある方にとっては選択肢の一つになります。
硝酸薬(狭心症の薬など)との併用が禁忌のため、心臓の病気がある方は必ず医師に申告してください。
| 分類 | 作用の仕組み | 効果発現の目安 | 主な注意点 |
| α1遮断薬 | 尿道の圧迫を緩める | 数日〜1週間 | 立ちくらみ、めまい |
| 5α還元酵素阻害薬 | 前立腺を縮小させる | 数か月〜半年 | PSA値が低下する |
| PDE5阻害薬 | 血流改善・平滑筋弛緩 | 数日〜1週間 | 硝酸薬との併用禁忌 |
薬の副作用で注意したいこと

抗コリン薬の副作用
抗コリン薬は膀胱以外の臓器にも作用するため、以下のような副作用が出ることがあります。
・口の渇き(口腔乾燥):唾液の分泌が減るため、最も多い副作用です
・便秘:腸の動きが抑えられることで起こります
・眼圧上昇:閉塞隅角緑内障のある方には使用できません。緑内障の治療中の方は必ず医師に伝えてください
・認知機能への影響:高齢者では長期使用で認知機能に影響を及ぼす可能性が指摘されています
こうした副作用が気になる方には、β3作動薬のほうが適している場合があります。
・起立性低血圧・めまい:急に立ち上がったときにフラッとすることがあります。特に服用開始直後は注意してください
・鼻閉:鼻づまりが起きることがあります
・術中虹彩緊張低下症候群(IFIS):白内障手術を予定している方は、手術前に必ず服用中であることを眼科医に伝えてください
薬以外の選択肢もある
薬物療法と並行して、あるいは薬をできるだけ使いたくないという方に向けて、薬以外の改善方法も紹介します。
骨盤底筋トレーニング
骨盤底筋体操は、尿道を締める筋肉を鍛えることで、頻尿や尿もれの改善を目指すトレーニングです。薬との併用も可能で、薬物療法の効果を高める役割も期待できます。
自力での体操が続けにくい方には、医療機器を使って骨盤底筋を効率的に刺激するという選択肢もあります。当院では、高強度テスラ磁気刺激(HITS™)技術を用いた「スターフォーマー」を導入しています。椅子に座ったまま着衣のまま、約30分間で骨盤底筋への収縮運動を促すことができます。

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生活習慣の改善
水分摂取のタイミングやカフェイン・アルコールの控え方、適度な運動習慣、冷え対策なども頻尿の改善に有効です。薬物療法と併せて生活習慣を整えることで、より効果的な改善が見込めます。
まとめ
頻尿の治療薬は、原因が過活動膀胱か前立腺肥大症かによって種類が異なり、それぞれに特徴的な効果と副作用があります。どの薬が自分に合っているかは、検査で原因を特定したうえで医師と相談しながら決めていくことが大切です。
また、薬物療法だけでなく、骨盤底筋トレーニングや生活習慣の改善といったアプローチも組み合わせることで、より良い結果につながる場合があります。
当院では、原因に応じた薬物療法から行動療法、スターフォーマーを用いた骨盤底筋トレーニングまで、幅広い治療選択肢をご用意しています。頻尿の薬について不安や疑問がある方は、お気軽にご相談ください。ご自身の症状について詳しく知りたい方は、排尿のお悩み(症状診断)ページもあわせてご覧ください。
どの薬が合うかは原因によって異なります。まずはお気軽にご相談ください。
スターフォーマーは自由診療(保険適用外)です。施術費用の目安は1回8,000円〜(お試し1回5,000円、通常価格・コース料金は公式ページをご参照ください)、1コースは週2回×4週間(計8回)が目安です。まれに軽い筋肉痛のような症状が出ることがあります。
また、体内にペースメーカーや金属インプラントが入っている方、妊娠中の方などは施術を受けられない場合がありますので、事前に医師にご相談ください。
なお、スターフォーマー(FOTONA社製)は、日本国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器です。米国FDA(食品医薬品局)の認可、およびEU(欧州連合)での医療機器認証(CEマーキング)を取得しています。当院では医師の判断のもと、個人輸入により導入し、自由診療として提供しております。効果には個人差があり、主なリスク・副作用については診察時に医師が十分にご説明します。
監修者
足立 浩幸
院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科
泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。

