健康コラム
2026.07.24

骨盤底筋を鍛える機械の選び方|家庭用と医療機器の違い

「骨盤底筋トレーニングを続けているけれど、本当に鍛えられているか自信がない」「機械で鍛えるほうが効率的なのでは?」

当院でも、そうしたお声を耳にすることがあります。最近は家庭用のグッズからクリニックで使う医療機器まで、骨盤底筋を鍛える機械の選択肢が広がっています。ただ、種類が多いぶん「何を選べばいいかわからない」という声も多く聞きます。

この記事では、機械の種類や仕組みの違い、家庭用と医療機器それぞれの特徴を整理し、ご自身に合った方法を選ぶための参考をお伝えします。 

そもそも骨盤底筋はなぜ自力で鍛えにくいのか

インナーマッスルゆえの難しさ

骨盤底筋は骨盤の底に位置する深層の筋肉群(インナーマッスル)です。腕や脚の筋肉とは異なり、目で動きを確認できず、関節もないため収縮を実感しにくいという特性があります。そのため「力を入れているつもりでも、実は別の筋肉を使っていた」ということが起きやすいのです。

自己流トレーニングで効果を感じにくい方が多い理由

骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)は自宅で手軽に始められる一方で、正しく収縮できていない方が一定数いると言われています(参考:全国骨盤底協会 骨盤底スマイルプロジェクト)。 

実際、診察室でお話を聞いていると、自己流のトレーニングだけでは変化を感じにくいとおっしゃる方が少なくありません。 そうした方の多くは、お腹やお尻に力が入ってしまい、骨盤底筋には十分な刺激が届いていないケースです。

こうした背景から、機械の力を借りて骨盤底筋を直接刺激するアプローチが注目されるようになっています。

関連記事:骨盤底筋トレーニングのやり方と効果|女性の尿もれ・頻尿改善法

骨盤底筋を鍛える機械の種類と仕組み

骨盤底筋を鍛える機械は、大きく「家庭用グッズ」と「クリニックの医療機器」の2つに分けられます。

家庭用グッズ(EMSデバイス・クッション・挿入型トレーナーなど)

家庭用グッズには、いくつかのタイプがあります。

タイプ特徴
EMSデバイス(バスタイム型・パッド型)電気刺激(EMS)で筋肉を収縮させる。お風呂や日常の「ながら使い」が可能
振動クッション・座椅子型座るだけで骨盤周辺を振動で刺激する。手軽だが骨盤底筋への直接的なアプローチは弱め
挿入型トレーナー(ケーゲルボールなど)腟内に挿入して自力で収縮する訓練を補助する。筋肉の動きを実感しやすい

家庭用の最大のメリットは、自分のタイミングで続けやすい手軽さです。価格も数千円〜数万円と幅広く、気軽に始められます。

一方で、刺激が届く深さや強さには限界があります。EMSは主に皮膚表面に近い筋肉への刺激が中心で、骨盤底筋のような深層の筋肉にはパワーが十分に届かないことがあります。軽度の予防やトレーニングの補助には向いていますが、すでに症状が進んでいる方には物足りなく感じるかもしれません。

クリニックの医療機器(磁気刺激装置)

医療機関で使われる骨盤底筋トレーニング機器は、主に高密度の磁気刺激を用いて筋肉を収縮させるタイプです。代表的な機器としては、当院で導入している「スターフォーマー」のほか、エムセラ(EMSELLA)、グランペリネなどがあります。

磁気刺激は電気刺激(EMS)とは異なり、衣服や皮膚を通り越して深層の筋肉にまで到達します。そのため、自分の意思では動かしにくい骨盤底筋にも直接アプローチできるのが大きな特徴です。

座るだけで骨盤底筋を鍛えられる「スターフォーマー」とは?

家庭用と医療機器、何が違う?比較表で整理

刺激の深さ・強さの違い

家庭用と医療機器の主な違いを表にまとめました。

比較項目家庭用グッズクリニックの医療機器
刺激方式EMS(電気刺激)、振動高密度磁気刺激(テスラ磁気)
到達する深さ表層〜浅層の筋肉が中心深層のインナーマッスルまで到達
収縮の強さ軽度〜中程度強力(自力では出しにくい強い収縮が得られる )
使い方自宅で自分の好きなタイミングに医療機関への通院が必要
着衣のままタイプによる(挿入型は不可)着衣のまま座るだけ
痛みほぼなしほぼなし(振動感がある程度)
価格帯数千円〜5万円前後当院の例:お試し1回5,000円より 
向いている方予防目的、軽度の症状症状がある方、セルフケアで改善しなかった方

こんな方には家庭用、こんな方には医療機器

家庭用グッズが向いている方

・まだ症状はないが、将来のために予防したい
・セルフトレーニングの「補助」として使いたい
・自宅で手軽に取り組みたい

クリニックの医療機器が向いている方

・骨盤底筋トレーニングを続けても効果を感じられなかった
・骨盤底筋の動かし方がどうしてもわからない
・尿もれや頻尿の症状がすでに生活に影響している
・短期間で効率的に骨盤底筋を鍛えたい

「トレーニングで改善できる段階なのか、それとも機械の力を借りたほうがいい段階なのか」は、症状の程度や骨盤底筋の状態によって変わります。判断に迷う場合は、まず医療機関でご相談いただくのが確実です。

医療機器「スターフォーマー」の特徴

高密度テスラ磁気刺激(FMS)の仕組み

当院で導入している「スターフォーマー」は、高密度テスラ磁気刺激(FMS:Functional Magnetic Stimulation)を利用した骨盤底筋トレーニング機器です。

椅子型の装置に座ると、座面に内蔵された磁気コイルから磁場が発生し、骨盤底筋群を強制的に収縮させます。電気を直接体に通すわけではないため、ピリピリとした痛みはなく、衣服の上からそのまま施術を受けられます。

自分の意思では動かしにくい深層の筋肉にも働きかけられるため、「骨盤底筋の動かし方がどうしてもわからない」という方にも適しています。

施術の流れ・頻度・痛みの有無

項目内容
施術方法着衣のまま専用の椅子に座るだけ
1回の施術時間約20~30分間
痛みなし(筋肉がピクピク動く振動感がある程度)
推奨頻度最初は週2回、効果を見ながら間隔を調整
効果実感の目安3~4回程度の継続で変化を感じ始める方が多い

施術中は読書やスマートフォンの操作もでき、特別な準備も必要ありません。座っている間、骨盤底筋がリズミカルに収縮する感覚があります。

スターフォーマーの使用前後の骨盤底筋の鍛えられたイメージ
※図は筋肉が支える仕組みの説明用であり、実際の治療結果を示すものではありません

なお、体内にペースメーカーや金属インプラントが入っている方、妊娠中の方などは施術を受けられない場合がありますので、事前に医師にご相談ください。 

スターフォーマーの詳しい仕組みや治療内容については、以下のページで紹介しています。
👉 スターフォーマーについて詳しく見る

機械に頼る前に知っておきたいこと

まずはセルフトレーニングとの組み合わせが大切

医療機器は強力なサポートになりますが、機械だけに頼りきりにするよりも、日常のセルフトレーニングと組み合わせるほうが効果は持続しやすいと感じています。機械で正しい筋肉の使い方を体に覚えさせつつ、自宅でのトレーニングで維持していくのが理想的な流れです。

骨盤底筋トレーニングの具体的なやり方については、「骨盤底筋トレーニングのやり方と効果」で詳しくお伝えしていますので、ぜひあわせてお読みください。

症状が気になったら早めに泌尿器科へ

家庭用グッズを試すのもひとつの選択肢ですが、すでに尿もれや頻尿の症状がある場合は、まず医療機関を受診されることをおすすめします。症状の原因が骨盤底筋のゆるみなのか、それとも別の疾患によるものなのかを正しく見極めた上で、適切な対策を取ることが大切です。

「こんなことで相談していいのだろうか」とためらう必要はありません。尿もれや頻尿は多くの方が抱える悩みですし、早い段階で対処を始めるほど改善しやすいのも事実です。

まとめ

骨盤底筋を鍛える機械は、家庭用EMSデバイスからクリニックの磁気刺激装置まで、さまざまな種類があります。予防目的で手軽に始めたい方には家庭用グッズ、すでに症状がある方やセルフケアで改善が見られなかった方にはクリニックの医療機器が適しています。

大切なのは、ご自身の状態に合った方法を選ぶことです。「自分にはどれが合うのかわからない」という方は、まずは泌尿器科でお気軽にご相談ください。

スターフォーマーは自由診療(保険適用外)です。施術費用の目安は1回8,000円〜(お試し1回5,000円、通常価格・コース料金は公式ページをご参照ください)、1コースは週2回×4週間(計8回)が目安です。まれに軽い筋肉痛のような症状が出ることがあります。

また、体内にペースメーカーや金属インプラントが入っている方、妊娠中の方などは施術を受けられない場合がありますので、事前に医師にご相談ください。

なお、スターフォーマー(FOTONA社製)は、日本国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器です。米国FDA(食品医薬品局)の認可、およびEU(欧州連合)での医療機器認証(CEマーキング)を取得しています。当院では医師の判断のもと、個人輸入により導入し、自由診療として提供しております。効果には個人差があり、主なリスク・副作用については診察時に医師が十分にご説明します。

監修者

足立浩幸

足立 浩幸

院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科

泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。