健康コラム
2026.07.24

骨盤底筋のゆるみ、大丈夫?症状チェックと対策を解説

「最近、くしゃみのたびにヒヤッとする」「なんとなく下腹部が重だるい」

そうした症状を感じながら、「年齢のせいだから仕方ない」と放置していませんか。骨盤底筋のゆるみは、早い段階で気づいて対策を始めれば改善が見込める症状です。 

この記事では、まずセルフチェックで今のご自身の状態を確認するところから始め、原因や症状、改善のための対策までお伝えします。 

あなたは大丈夫?骨盤底筋のゆるみセルフチェック

日常生活で気づけるチェックリスト

まずは以下の項目に、いくつ当てはまるか数えてみてください。

No.チェック項目
咳・くしゃみ・笑ったときに尿がもれることがある
重いものを持ち上げたときに尿がもれることがある
トイレの回数が以前より増えた(1日8回以上が目安)
急に強い尿意を感じ、トイレまで我慢しづらいことがある
夜中にトイレで2回以上目が覚める
入浴後、腟からお湯が漏れてくることがある
夕方になると下腹部や腟に重だるさ・違和感がある
腟に何かが挟まっているような感覚がある

①〜⑤に複数該当する場合は、骨盤底筋の筋力が低下し始めている可能性があります。⑥〜⑧に該当がある場合は、ゆるみがさらに進行しているサインかもしれません。

チェックが1つでもあった方は、この記事の続きで原因と対策を確認してみてください。⑥〜⑧に当てはまる方は、早めに泌尿器科や婦人科を受診されることをおすすめします。

体を使って確認するセルフチェック法

チェックリストに加えて、実際に体を動かして確認する方法もあります。

排尿を途中で止めてみる

途中でピタッと止められれば、骨盤底筋がしっかり働いている証拠です。止まらない、止めても漏れ続ける場合は筋力が低下している可能性があります。(膀胱への負担があるため、週1回程度にとどめてください)

10秒ホールドテスト

椅子に浅く腰掛けて背筋を伸ばし、肛門・腟・尿道を同時に締めたまま10秒キープ→10秒リラックスを10回繰り返します。数回で力が抜けてしまう場合は、骨盤底筋の持久力が不足しているサインです。

骨盤底筋のゆるみとは?

骨盤底筋の役割とゆるみの意味

骨盤底筋は、骨盤の底にハンモックのように広がっている筋肉群の総称です。膀胱・子宮・直腸といった臓器を下から支え、尿道や腟、肛門の開閉をコントロールするという大切な役割を担っています。

「ゆるみ」とは、この筋肉群の筋力や弾力が低下し、臓器を十分に支えられなくなっている状態のことです。骨盤底筋は普段の生活で意識して使うことが少ないインナーマッスルのため、衰えが進んでいても自覚しにくいのが厄介なところです。

女性にゆるみが起こりやすい理由

骨盤底筋のゆるみは男女問わず起こりますが、女性は構造上、特にゆるみやすい体をしています。

原因骨盤底筋への影響
妊娠・出産胎児の重みや分娩時のいきみで筋肉・靭帯が大きく伸びる
加齢・更年期エストロゲン減少により筋肉のハリや弾力が低下する
肥満骨盤底への持続的な圧力で筋肉が疲弊する
運動不足・長時間の座り仕事骨盤底筋を使う機会が減り、筋力が衰える
慢性的な便秘排便時のいきみが繰り返し骨盤底にダメージを与える

女性は男性と比べて骨盤が広く、骨盤底筋の面積も広い上に、尿道・腟・肛門の3つの開口部がある構造のため、もともと骨盤底筋への負担がかかりやすいのです。出産経験や加齢といった要因が加わると、ゆるみがさらに加速しやすい傾向にあります。

骨盤底筋がゆるむとどんな症状が出る?

尿もれ・頻尿

骨盤底筋がゆるむと、尿道を締める力が弱まり、お腹に力が入った瞬間に尿がもれやすくなります。くしゃみ・咳・笑ったとき・走ったときなどに起こる「腹圧性尿失禁」は、骨盤底筋のゆるみと最も関係が深いタイプの尿もれです。40歳以上の女性の4割以上が経験しているとされています(出典:日本泌尿器科学会「尿が漏れる・尿失禁がある」)。 

また、骨盤底筋が膀胱を十分に支えられなくなると、膀胱が過敏になり、少量の尿でも強い尿意を感じる「頻尿」につながることもあります。

姿勢の崩れ・腰痛

骨盤底筋は、横隔膜や腹横筋、多裂筋とともに体幹を安定させるインナーユニットを構成しています。骨盤底筋がゆるむと骨盤の安定性が低下し、反り腰や猫背といった姿勢の崩れにつながることがあります。姿勢が崩れると腰や肩に余計な負担がかかり、慢性的な腰痛や肩こりの原因になるケースもあります。

腰痛の原因が実は骨盤底筋のゆるみに関係していた、というケースも少なくありません。 

骨盤臓器脱(進行した場合)

骨盤底筋のゆるみを放置すると、膀胱・子宮・直腸が本来の位置から下がってくる「骨盤臓器脱」に進行する可能性があります。座ったときにピンポン玉の上に乗っているような感覚がある、夕方になると腟に何か挟まっている感じがする、といった症状が特徴です。

中高年の女性に多く、出産したことのある方は誰でも発症する危険性があります。ただし、軽度の段階であれば、トレーニングや生活習慣の改善で進行を食い止められる可能性があります。セルフチェックで⑥〜⑧に該当する方は、早めに泌尿器科や婦人科の受診をお考えください。

骨盤底筋のゆるみを改善するために

骨盤底筋トレーニングの基本

骨盤底筋のゆるみに対する代表的なセルフケアが骨盤底筋トレーニングです。特別な道具が不要で、自宅で手軽に取り組めます。基本は「締める→ゆるめる」の繰り返しです。

ポイント内容
姿勢まずは仰向けなど力を抜きやすい体勢から
動作肛門・腟・尿道を体の内側に引き上げるイメージで締める
時間6〜8秒間締め、6秒間休むを1セット
回数8〜12回を1日3セットが目安
期間効果を実感するまでに4〜6週間、最大効果まで約3ヶ月

より詳しい姿勢別のやり方や、正しくできているか確認するコツについては、別コラム「骨盤底筋トレーニングのやり方と効果」で紹介していますので、あわせてご覧ください。

日常生活で気をつけたいこと

トレーニングと合わせて、日常生活の中で骨盤底筋に余計な負担をかけない工夫をすることも大切です。

  • 便秘の解消:排便時のいきみは骨盤底への大きな負担です。食物繊維や水分を十分に摂り、便秘を防ぎましょう
  • 適正体重の維持:体重が増えると骨盤底筋への持続的な圧力が増します
  • 重いものの持ち方:持ち上げるときは、事前に骨盤底筋をキュッと締めてから動作に入る習慣をつけると予防になります
  • 座り方の意識:長時間座るときは骨盤を立てるように意識し、背筋を伸ばすことで骨盤底筋への負荷を軽減できます

セルフケアで改善が難しい場合の選択肢

泌尿器科への相談が改善の近道になることも

骨盤底筋トレーニングを数ヶ月続けても変化を感じられない方や、セルフチェックで⑥〜⑧に該当する方は、医療機関での相談を検討してみてください

「今さら恥ずかしい」「こんなことで病院に行っていいのだろうか」とためらう方は多いのですが、同じような悩みで受診される方は本当にたくさんいらっしゃいます。骨盤底筋の状態を客観的に評価してもらうことで、自分に合った改善策が明確になることも多いです。

座るだけで骨盤底筋を鍛えられる「スターフォーマー」

スターフォーマー機器のイメージ

自己流のトレーニングでは正しく筋肉を使えていない、あるいは筋力の低下が進んでいて自力での改善が難しい場合には、医療機器による治療も選択肢の一つです。当院で導入している「スターフォーマー」は、高密度テスラ磁気刺激(FMS)によって骨盤底筋を収縮させる治療機器です。

着衣のまま椅子に座るだけで施術を受けられ、痛みもありません。自分の意思で動かしにくい深層の筋肉にも働きかけるため、「トレーニングを続けても効果を感じられなかった」という方にも適した方法です。

スターフォーマー使用前後の、骨盤底筋の鍛えられたイメージ
※図は筋肉が支える仕組みの説明用であり、実際の治療結果を示すものではありません
スターフォーマーの詳しい仕組みや治療内容については、以下のページで紹介しています。
👉 スターフォーマーについて詳しく見る

まとめ

骨盤底筋のゆるみは、尿もれや頻尿、姿勢の崩れ、さらには骨盤臓器脱など、さまざまな不調の原因になり得ます。ただし、早い段階で気づいて対策を始めれば改善が期待できる症状でもあります。

まずはセルフチェックで今のご自身の状態を確認し、骨盤底筋トレーニングや生活習慣の見直しから始めてみてください。それでも改善が難しい場合は、一人で抱え込まず、お気軽に当院へご相談ください。

スターフォーマーは自由診療(保険適用外)です。施術費用の目安は1回8,000円〜(お試し1回5,000円、通常価格・コース料金は公式ページをご参照ください)、1コースは週2回×4週間(計8回)が目安です。まれに軽い筋肉痛のような症状が出ることがあります。

また、体内にペースメーカーや金属インプラントが入っている方、妊娠中の方などは施術を受けられない場合がありますので、事前に医師にご相談ください。

なお、スターフォーマー(FOTONA社製)は、日本国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器です。米国FDA(食品医薬品局)の認可、およびEU(欧州連合)での医療機器認証(CEマーキング)を取得しています。当院では医師の判断のもと、個人輸入により導入し、自由診療として提供しております。効果には個人差があり、主なリスク・副作用については診察時に医師が十分にご説明します。

監修者

足立浩幸

足立 浩幸

院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科

泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。