健康コラム
2026.07.24

骨盤底筋トレーニングのやり方と効果|女性の尿もれ・頻尿改善法

咳やくしゃみをした瞬間にヒヤッとする、トイレの回数が増えた気がする・・・。

そんな悩みを抱える女性患者様は当院にもよくいらっしゃいます。原因の多くは、骨盤の底で内臓を支えている「骨盤底筋」の衰えにあります。骨盤底筋トレーニングは特別な道具を使わず自宅で始められ、正しく継続すれば尿もれや頻尿の改善が期待できる方法です。

この記事では、骨盤底筋の基礎知識から姿勢別の正しいやり方、よくある失敗パターン、そして自力で改善が難しい場合の選択肢まで、診療の現場で感じていることも交えてお伝えします。 

骨盤底筋とは?女性に多いトラブルの原因

骨盤底筋の役割と場所

骨盤底筋は、骨盤の底にハンモックのように張っている筋肉群の総称です。膀胱・子宮・直腸といった臓器を下から支え、尿道や腟、肛門の開閉をコントロールする役割を担っています。

場所を確認するには、椅子に座って手のひらを上向きにしてお尻の下に置いてみてください。指先に触れる左右の硬い骨の出っ張りが「坐骨結節」で、この坐骨結節の間に骨盤底筋が広がっています。

出産・加齢・運動不足で骨盤底筋が弱る理由

骨盤底筋が弱くなる主な原因は以下の通りです。

原因骨盤底筋への影響
妊娠・出産胎児の重みや分娩時の圧力で筋肉や靭帯が伸びる
加齢・閉経女性ホルモン(エストロゲン)の減少により筋肉のハリが低下する
運動不足・長時間の座り仕事骨盤底筋を使う機会が減り、筋力が衰える
慢性的な便秘・肥満骨盤底への持続的な圧力が加わり、筋肉が疲弊する

特に出産を経験した女性や、40代以降の更年期世代は複数の要因が重なりやすく、骨盤底筋の衰えが加速しやすい傾向があります。 

骨盤底筋が弱るとどうなる?放置するリスク

尿もれ・頻尿が起こるしくみ

骨盤底筋が弱くなると、尿道を締める力が不足し、お腹に力が加わった瞬間に尿がもれてしまいます。これが「腹圧性尿失禁」と呼ばれる状態で、くしゃみ・咳・笑ったとき・重い荷物を持ち上げたときなどに起こります。

また、骨盤底筋の衰えによって膀胱が正しい位置で支えられなくなると、膀胱が過敏になり、少量の尿でも強い尿意を感じる「頻尿」につながるケースもあります。

骨盤臓器脱など進行した場合の症状

骨盤底筋の衰えを放置すると、膀胱・子宮・直腸が本来の位置から下がってくる「骨盤臓器脱」に進行する可能性があります。腟から臓器の一部が飛び出すような感覚があったり、排尿・排便に支障が出たりする場合は、早めに泌尿器科や婦人科を受診してください。

👉 座るだけで骨盤底筋をトレーニングできるスターフォーマー

骨盤底筋トレーニングの正しいやり方【姿勢別】

骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)は、1940年代にアメリカの産婦人科医が考案した方法です。肛門・腟・尿道を意識して「締める→ゆるめる」を繰り返すことで骨盤底筋を鍛えます。まずは仰向けの姿勢から始めて、慣れてきたら座位・立位へとステップアップしていきましょう。

まずは骨盤底筋の位置を確認するセルフチェック

トレーニングの前に、骨盤底筋を正しく動かせているか確認しておくことが大切です。

✅ 排尿を途中で止めてみる:途中で止められれば、骨盤底筋を正しく収縮させられています(確認のみで、毎回行う必要はありません)
✅ おならを我慢するように肛門を締める:体の内側に引き込まれる感覚があれば正しい動きです
✅ お腹やお尻を手で触って確認する:お腹が硬くなっている場合はいきんでいる状態で、骨盤底筋ではなく別の筋肉を使ってしまっています

初めて骨盤底筋トレーニングを始めた場合、筋肉の使い方がわかりづらいこともあるでしょう。 お腹・太もも・お尻に力が入っていないか、こまめに確認しましょう。

仰向けでの基本トレーニング

最も力を抜きやすく、骨盤底筋に集中しやすい姿勢です。初めての方はここからスタートしてください。

手順内容ポイント
① 姿勢仰向けに寝て足を肩幅に開き、両膝を軽く曲げて立てるリラックスした状態で行う
② 呼吸鼻からゆっくり息を吸い、口から細く長く吐く深い呼吸を意識する
③ 締める肛門・腟・尿道を体の内側に引き上げるように6〜8秒間締める息を吐きながら行う
④ ゆるめる力を抜いて6秒間休むしっかり脱力する
⑤ 繰り返し③〜④を8〜12回で1セット、1日3セット行う無理のない範囲で継続する

ポイントは、下からエレベーターを1階ずつ引き上げるようなイメージで「そっと引き込む」感覚です。

座ったままできるトレーニング

デスクワーク中や電車の中など、日常生活に取り入れやすい方法です。周囲に気づかれずにできるので、習慣化しやすいのが大きなメリットです。

椅子に浅く腰掛け、背筋を伸ばします。背もたれに寄りかかりすぎると骨盤の角度が変わり、正しく筋肉を使えません。仰向けと同じ要領で「締める→ゆるめる」を繰り返してください。

立った姿勢でのトレーニング

立位は最も実践的な姿勢です。家事の合間や歯磨き中など「ながらトレーニング」として取り入れられます。足を肩幅に開いて立ち、つま先をやや外向きに開くと、骨盤底筋をより意識しやすくなります。

よくある間違いと効果が出ないときの原因

お腹やお尻に力が入っていませんか?

骨盤底筋トレーニングで最も多い失敗は、骨盤底筋ではなくお腹やお尻の筋肉を使ってしまうことです。お腹に力を入れていきんでしまうと、腹圧で骨盤底がかえって押し下げられ、症状を悪化させる恐れがあります。

トレーニング中は片手をお腹に当て、お腹が硬くなっていないか確認してください。腹部が動かないのが理想です。

回数・秒数の目安と正しい呼吸法

「早く結果を出したい」と回数を増やしすぎるのも逆効果です。やりすぎると筋肉が疲労し、かえって力が入りにくくなりますよ。以下の目安を参考にしてください。

項目目安
1回の収縮時間6〜8秒(きつい場合は5秒から)
休憩時間6秒
1セットの回数8〜12回
1日のセット数3セット

呼吸は自然に続け、息を止めないことが重要です。息を吐くタイミングで締め、吸うタイミングでゆるめるリズムを意識してみてください。

効果はいつから?継続するためのコツ

効果が出るまでの期間の目安

骨盤底筋はインナーマッスル(深層筋)のため、効果を実感するまでには4〜6週間、最大の効果が出るまでに約3ヶ月が必要とされています。

期間変化の目安
2〜3週間骨盤底筋を意識して動かせる感覚がつかめてくる
4〜6週間尿もれの頻度が減るなど、改善を感じ始める方が増える
3ヶ月トレーニング効果が最大に近づく

継続期間が長くなるほど、尿もれ症状の改善を実感される方が増える傾向にあります。焦らず、まずは3ヶ月を目標に取り組んでみてください。 

毎日続けるための生活習慣への取り入れ方

骨盤底筋トレーニングは、日常のちょっとしたタイミングに組み込むと無理なく継続できます。

  • 朝の歯磨き中に立位でトレーニング
  • デスクワーク中に座ったまま1セット
  • 就寝前に仰向けで1セット

特別な時間を設けるよりも、すでにある習慣にくっつけるほうが定着しやすいです。「毎日10回」という小さな目標から始めて、慣れたら回数を増やしていくのがおすすめです。

また、咳やくしゃみが出そうなとき、重いものを持ち上げるときに、事前にキュッと骨盤底筋を締めておく習慣をつけると、尿もれ予防にもなります。

自分でのトレーニングに限界を感じたら

医療機関で受けられる骨盤底筋の治療法

骨盤底筋トレーニングを数ヶ月続けても改善が見られない場合や、正しいやり方がどうしてもわからない場合は、泌尿器科や婦人科で専門的な相談をすることをおすすめします。

医療機関では、骨盤底筋の状態を客観的に評価し、一人ひとりに合った治療法を提案してもらえます。自己流では気づけなかった筋肉の使い方の癖を指摘してもらえることも多く、受診をきっかけにトレーニングの効果を実感しやすくなるケースも見られます。 

「今さら相談するのは恥ずかしい」とためらいながら受診される方も多いのですが、お話を伺うと同じような悩みを抱える方は本当にたくさんいらっしゃいます。一人で抱え込まず、まずは気軽にご相談いただければと思います。 

座るだけで骨盤底筋を鍛えられる「スターフォーマー」とは

近年、椅子に座るだけで骨盤底筋を効率的に刺激できる医療機器が注目を集めています。当院で導入している「スターフォーマー」は、高密度テスラ磁気刺激(FMS)によって骨盤底筋を収縮させる治療機器です。

自分の意思で動かしにくい深層の筋肉にも働きかけられるため、自力でのトレーニングがうまくいかなかった方にも適した選択肢です。着衣のまま座るだけで施術を受けられ、痛みもありません。

※図は筋肉が支える仕組みの説明用であり、実際の治療結果を示すものではありません

【自由診療に関するご案内】 スターフォーマーによる治療は自由診療(自費診療)です。

  • 費用: 1回 5,000円〜(税込)
  • 標準的な治療回数: 週1〜2回、計6〜10回程度が目安です(個人差があります)。
  • 主なリスク・副作用: 軽度の筋肉痛が生じる場合があります。ペースメーカーや金属インプラントを体内に埋め込まれている方、妊娠中の方は治療が受けられない場合があります。
スターフォーマーの詳しい仕組みや治療内容については、以下のページで紹介しています。
👉 スターフォーマーについて詳しく見る

まとめ

骨盤底筋トレーニングは、尿もれ・頻尿に悩む女性にとって取り組みやすいセルフケアの一つです。正しい姿勢と「締める→ゆるめる」の基本動作を守り、毎日少しずつでも継続することが、症状の改善につながります。 

一方で、自己流のトレーニングでは正しく筋肉を使えていないケースも珍しくありません。数ヶ月続けても変化を感じられない場合は、一人で悩まず専門の医療機関に相談してみてください。

スターフォーマーは自由診療(保険適用外)です。施術費用の目安は1回8,000円〜(お試し1回5,000円、通常価格・コース料金は公式ページをご参照ください)、1コースは週2回×4週間(計8回)が目安です。まれに軽い筋肉痛のような症状が出ることがあります。

また、体内にペースメーカーや金属インプラントが入っている方、妊娠中の方などは施術を受けられない場合がありますので、事前に医師にご相談ください。

なお、スターフォーマー(FOTONA社製)は、日本国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器です。米国FDA(食品医薬品局)の認可、およびEU(欧州連合)での医療機器認証(CEマーキング)を取得しています。当院では医師の判断のもと、個人輸入により導入し、自由診療として提供しております。効果には個人差があり、主なリスク・副作用については診察時に医師が十分にご説明します。

監修者

足立浩幸

足立 浩幸

院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科

泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。