
夜中に何度もトイレで目が覚めて、ぐっすり眠れない。そんなつらさを抱えずに、ぐっすり眠りたいものですよね。夜間頻尿は単なる「年齢のせい」ではなく、水分の摂り方や膀胱の状態、睡眠の質など、タイプによって原因が異なります。
この記事では、夜間頻尿を3つのタイプに分けて整理し、それぞれに合った改善方法と、受診を検討すべきタイミングについてお伝えします。
夜間頻尿とは?何回からが目安か

就寝中2回以上が一つの目安
日本泌尿器科学会では、夜間の排尿のために1回以上起きなければならない状態を夜間頻尿と定義しています。ただし、1回程度であれば日常生活への影響は限られるため、一般的に2回以上起きる場合に治療や生活改善の対象として検討されることが多くなります。
夜間頻尿は加齢とともに増える傾向があり、高齢者では40〜80%の方に見られるという国内の調査報告もあります。夜間に2回以上トイレに起きる方は、骨折リスクや死亡率の上昇との関連も指摘されており、「よくあること」で片付けずに対策を取ることが大切です。
(出典:済生会)(出典:科学研究費助成事業データベース(KAKEN)/国立情報学研究所)
夜間頻尿の3つのタイプ
夜間頻尿の原因は、大きく3つのタイプに分けられます。自分がどのタイプに近いかを把握することが、改善の第一歩です。
| タイプ | どんな状態か | 主な背景 |
| 夜間多尿型 | 夜間に作られる尿の量が多い | 水分の摂りすぎ、塩分過多、高血圧、心不全、腎機能低下、睡眠時無呼吸症候群 |
| 膀胱蓄尿障害型 | 膀胱に溜められる尿の量が少ない | 過活動膀胱、前立腺肥大症、加齢による膀胱機能低下 |
| 睡眠障害型 | 眠りが浅く、わずかな尿意で目が覚める | 不眠症、うつ、環境要因(光・音)、加齢による睡眠構造の変化 |
実際には一つのタイプだけでなく、複数のタイプが重なっているケースが多いことも知っておいてください。高齢者では膀胱蓄尿障害と夜間多尿を同時に持っている方が60〜70%に上るとされています。
(出典:済生会)
夜間多尿型
夜間に作られる尿の量そのものが多いタイプです。65歳以上の方の場合、24時間の総尿量に対して夜間の尿量が33%を超えると夜間多尿と判断されます。
就寝前に大量の水分やアルコールを摂取する習慣のほか、高血圧や心不全など循環器の疾患、腎機能の低下、睡眠時無呼吸症候群なども夜間多尿の原因になります。また、日中は重力で下半身に溜まっていた水分(足のむくみなど)が、夜間に横になることで血中に戻り、腎臓で尿として作られるというメカニズムもあります。
(出典:日本泌尿器科学会)
膀胱蓄尿障害型
膀胱に十分な量の尿を溜められなくなるタイプです。昼間も頻尿の症状がある方は、このタイプの可能性が高くなります。
代表的な原因は過活動膀胱です。膀胱が勝手に収縮し、少量の尿でも強い尿意を感じます。男性では前立腺肥大症により膀胱が刺激され、蓄尿障害を起こしているケースもあります。女性では出産後や閉経後に骨盤底筋が弱まることで、膀胱を支える力が低下し、蓄尿機能が落ちやすくなります。
夜間頻尿の原因についてさらに詳しく知りたい方は、排尿のお悩み(症状診断)ページもご覧ください。
睡眠障害型
本来であれば目が覚めないほどの軽い尿意でも、眠りが浅いために覚醒してしまい、「トイレに起きた」と感じるタイプです。加齢に伴い深い睡眠(ノンレム睡眠)の割合は減少するため、高齢者ではこのタイプが関係していることも多くあります。
不眠症やうつ病が背景にある場合や、寝室の光・音・温度といった環境要因が睡眠を妨げている場合もあり、排尿の問題と思い込んでいたものが実は睡眠の問題だった、というケースも珍しくありません。
夜間頻尿を放置するリスク
「トイレに起きるだけ」と軽く考えがちですが、夜間頻尿は放置すると生活の質を大きく下げる要因になります。
睡眠の質の低下はもちろんですが、高齢の方では夜間にトイレへ向かう際の転倒・骨折のリスクが増します。暗い中を急いで移動することで足元がふらつきやすく、特に冬場は低体温やヒートショックの危険も加わります。
夜間頻尿による睡眠不足が蓄積すると、日中の眠気や集中力の低下だけでなく、高血圧や糖尿病の悪化、免疫力の低下につながる可能性も指摘されています。「たかがトイレ」ではなく、生活全体に関わる問題として改善に取り組む価値があります。
タイプ別の改善方法

夜間頻尿はタイプによって有効な対策が異なります。まずは自分に当てはまりそうなタイプの対策から試してみてください。
| タイプ | 主な改善ポイント |
| 夜間多尿型 | 水分・塩分の調整、夕方の運動、足のむくみ対策 |
| 膀胱蓄尿障害型 | 骨盤底筋体操、膀胱訓練、医療機器による骨盤底筋強化 |
| 睡眠障害型 | 睡眠環境の整備、就寝前の習慣の見直し |
夜間多尿型の対策
水分の摂り方を見直すことが基本です。「水をたくさん飲むと血液がサラサラになる」「寝る前の水分補給が脳梗塞を防ぐ」と考えて、就寝前に大量の水を飲む方がいらっしゃいますが、これを裏付ける科学的根拠はありません。
国土交通省の「健康のため水を飲もう」推進運動でも、推奨されているのは就寝前・起床時のコップ1杯程度のこまめな水分補給であり、大量摂取ではありません。
そのほか、以下の工夫も効果的です。
・塩分を控える:塩分の摂りすぎは体内の水分量を増やし、夜間の尿量増加につながります
・夕方に軽いウォーキングをする:日中に下半身に溜まった水分(足のむくみ)を就寝前までに排出しやすくなります
・弾性ストッキングの着用:足のむくみが強い方は、日中の着用で水分の偏りを防ぎます
・夕食後のカフェイン・アルコールを控える:利尿作用による夜間の尿量増加を防ぎます
膀胱蓄尿障害型の対策
膀胱に溜められる量を増やし、尿道を締める力を強化することが改善につながります。
骨盤底筋体操は、肛門と尿道をキュッと5秒締めて10秒緩める動作を、1日10回×3セット行うトレーニングです。男女ともに有効で、2〜3か月の継続で効果が実感できることが多いとされています。
自力での体操が難しい方や、より効率よく骨盤底筋を鍛えたい方には、医療機器による刺激という選択肢もあります。当院では、高強度テスラ磁気刺激(HITS™)技術を用いた「スターフォーマー」を導入しています。椅子に座ったまま着衣のまま、約30分間で骨盤底筋への収縮運動を促すことができます。

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膀胱訓練(尿意を感じてから少しだけ我慢する時間を徐々に延ばしていく方法)も、膀胱の容量を増やすために有効です。
睡眠障害型の対策
睡眠の質そのものを改善することで、夜間の覚醒回数が減り、結果として夜間頻尿が改善する場合があります。
・寝室の環境を整える:遮光カーテンで光を遮る、季節に応じて快適な室温に保つ
・就寝前のスマートフォン・テレビを控える:ブルーライトが睡眠を妨げます
・就寝・起床の時間を一定にする:体内時計のリズムを整えることで深い睡眠を得やすくなります
・いびきや日中の強い眠気がある場合:睡眠時無呼吸症候群の可能性があるため、医療機関への相談をお勧めします
室温については、厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」で、寝具・寝衣を使用した状態での許容範囲は13〜29℃と、季節に応じて幅を持った目安が示されています(出典:厚生労働省)。とくに冬場は、WHOの住環境ガイドラインで健康維持の観点から室温18℃以上を保つことが推奨されており、体の冷えは夜間の血流変化を通じて頻尿にも関わるとされているため、あわせて意識するとよいでしょう。
改善しないときは受診を検討
受診の目安となる症状
生活習慣の見直しを2〜3か月続けても夜間頻尿が改善しない場合や、以下のような症状がある場合は、泌尿器科の受診を検討してください。
病院での検査・治療の流れ
泌尿器科ではまず問診で症状の経過を確認し、排尿日誌(排尿の時刻と量を数日間記録するもの)のデータをもとに、夜間多尿型か膀胱蓄尿障害型かを判定します。尿検査、血液検査、超音波検査なども組み合わせ、原因に応じた治療を行います。
治療法はタイプによって異なります。夜間多尿型では生活指導や必要に応じた薬物療法(抗利尿ホルモン薬など)、膀胱蓄尿障害型では抗コリン薬やβ3作動薬といった膀胱の過敏さを抑える薬、睡眠障害型では睡眠環境の改善指導や必要に応じた睡眠薬の処方などが選択されます。
まとめ
夜間頻尿は、夜間多尿・膀胱蓄尿障害・睡眠障害の3タイプがあり、それぞれ改善のアプローチが異なります。まずは自分のタイプを知り、水分の摂り方の見直しや骨盤底筋体操、睡眠環境の整備など、タイプに合ったセルフケアから取り組んでみてください。
それでも改善が見られない場合は、放置せず泌尿器科に相談することをお勧めします。当院では排尿日誌を用いたタイプの判定から治療まで、一貫した診療を行っています。ご自身の夜間頻尿のタイプを詳しく知りたい方は、排尿のお悩み(症状診断)ページもあわせてご覧ください。
ぐっすり眠れる夜を取り戻すために、まずはお気軽にご相談ください。
スターフォーマーは自由診療(保険適用外)です。施術費用の目安は1回8,000円〜(お試し1回5,000円、通常価格・コース料金は公式ページをご参照ください)、1コースは週2回×4週間(計8回)が目安です。まれに軽い筋肉痛のような症状が出ることがあります。
また、体内にペースメーカーや金属インプラントが入っている方、妊娠中の方などは施術を受けられない場合がありますので、事前に医師にご相談ください。
なお、スターフォーマー(FOTONA社製)は、日本国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器です。米国FDA(食品医薬品局)の認可、およびEU(欧州連合)での医療機器認証(CEマーキング)を取得しています。当院では医師の判断のもと、個人輸入により導入し、自由診療として提供しております。効果には個人差があり、主なリスク・副作用については診察時に医師が十分にご説明します。
監修者
足立 浩幸
院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科
泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。

