
「最近トイレが近い」と感じていませんか。男性の頻尿には、前立腺肥大症や加齢による骨盤底筋の衰え、ストレスなど、女性とは異なる原因が関わっていることがあります。
この記事では、年代別に多い原因の違いや、心因性の頻尿との見分け方、何科を受診すべきかの目安まで、泌尿器科の視点で分かりやすく解説します。
男性の頻尿、何回からが目安?
日本泌尿器科学会では、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿と定義しています。また、就寝中に排尿のために2回以上起きる場合は夜間頻尿にあたります。
ただし、回数はあくまで一つの目安です。回数が8回未満でも、「仕事中に何度も席を外す」「外出時にトイレの場所が気になって落ち着かない」など、生活に支障が出ていると感じる場合は頻尿として対応を考えてよいでしょう。

男性の頻尿は、女性に比べて前立腺という臓器が関わる点が大きな特徴です。ここでは代表的な5つの原因を取り上げます。
前立腺肥大症
男性の頻尿でまず疑われるのが前立腺肥大症です。前立腺は膀胱の出口を取り囲むように位置しており、加齢とともに肥大すると尿道を圧迫し、頻尿や尿の勢いの低下、残尿感などを引き起こします。
前立腺の肥大が始まる結節(しこり)は、40代で約40%、50代で約50%、60代で約60%の男性に見られ、年齢とともに増加していきます。80代になると大部分の男性に前立腺の肥大がみられるとされています。厚生労働省の患者調査(2020年)では、前立腺肥大症の推計患者数は約108万人とされています。
前立腺肥大症の症状は、大きく3つに分類されます。尿が出にくくなる「排尿症状」(尿の勢いが弱い、排尿に時間がかかる)、尿が近くなる「蓄尿症状」(頻尿、尿意切迫感、尿もれ)、排尿後もすっきりしない「排尿後症状」(残尿感、排尿後のちびり)です。
これらは単独で現れることもあれば、複数が組み合わさって現れることもあります。症状が軽いうちは経過を見ることもありますが、進行すると尿が全く出なくなる「尿閉」を起こすこともあるため、気になる症状が続く場合は早めの受診が望まれます。
前立腺肥大症については、男性のお悩み(症状診断)ページでも詳しく解説しています。
(出典:東京女子医科大学病院 泌尿器科)(出典:男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン/日本泌尿器科学会)(出典:厚生労働省「患者調査」)
前立腺炎
前立腺に炎症が起きる病気で、細菌感染によるものと、はっきりした原因が見つからない慢性前立腺炎があります。頻尿のほか、会陰部(陰のうと肛門の間)の不快感や違和感、排尿時の痛みを伴うことがあり、比較的若い世代の男性にも見られます。
急性前立腺炎では発熱を伴うこともあり、その場合は早急な治療が必要です。慢性前立腺炎は症状が長引きやすく、ストレスや疲労、長時間座り続ける生活習慣が関係しているとも考えられています。
加齢による骨盤底筋・膀胱機能の低下
骨盤底筋は、膀胱や尿道を支える役割を担っています。加齢や運動不足によって骨盤底筋が衰えると、尿道を締める力が弱まり、頻尿や尿もれにつながります。また、膀胱自体の柔軟性が低下し、溜められる尿の量が少なくなることも頻尿の一因です。
ストレス・心因性頻尿の特徴
強い緊張や不安が続くと、自律神経のバランスが乱れ、膀胱に尿が十分溜まっていなくても尿意を感じやすくなります。これを心因性頻尿といいます。「トイレに行けない状況」を意識するほど症状が強くなり、逆に何かに集中している間は症状を感じにくく、夜間はほとんど症状が出ないといった特徴があります。
糖尿病・高血圧治療薬などの影響
糖尿病により血糖値が高い状態が続くと、体が余分な糖を排出しようとして尿量が増え、頻尿につながります。また、高血圧治療に使われる利尿薬や一部のカルシウム拮抗薬は、尿量を増やす作用があり、服用中の方は頻尿を自覚しやすくなります。心当たりのある方は、自己判断で服薬を中止せず、医師に相談してください。
年代別に見る頻尿の原因の違い
同じ「頻尿」でも、年代によって背景にある原因の傾向は異なります。
| 年代 | 多く見られる原因の傾向 |
| 30〜40代 | ストレス性・心因性頻尿、前立腺炎、生活習慣(水分・カフェイン過多) |
| 50〜60代 | 前立腺肥大症の症状が出始める、過活動膀胱、生活習慣病(糖尿病・高血圧)の影響 |
| 70代以降 | 前立腺肥大症の進行、膀胱機能の低下、夜間多尿、複数の要因が重なるケース |
年代が上がるほど前立腺肥大症の影響が大きくなる一方、40代以下でもストレス性の頻尿は珍しくありません。年代だけで自己判断せず、症状の特徴も併せて確認することが大切です。
心因性頻尿とほかの頻尿の見分け方
自分の頻尿がどのタイプに近いか、大まかな傾向を確認してみましょう。
| 特徴 | 心因性頻尿 | 前立腺肥大症など器質的な頻尿 |
| 夜間の症状 | 出にくい | 出やすい(夜間頻尿を伴うことが多い) |
| 尿の勢い | 変化なし | 弱くなる、途切れることがある |
| 緊張・集中との関係 | 緊張時に強まる/集中時は軽い | 関係なく症状が出る |
| 残尿感 | 少ない | 出やすい |
あくまで目安であり、実際には複数の原因が重なっているケースも多いため、気になる症状がある場合は自己判断に頼らず受診して確認することをお勧めします。
何科を受診すべき?受診の目安

男性の頻尿は、泌尿器科が専門の診療科です。以下のような症状がある場合は、早めの受診を検討してください。
検査の流れ
泌尿器科では、まず問診で症状の経過を確認し、尿検査や血液検査(PSA検査を含む場合もあります)、超音波検査で前立腺の大きさや残尿量を調べます。必要に応じて尿流量検査を行い、排尿の勢いを客観的に評価します。原因に応じて、内服薬による治療(α1遮断薬など尿道を広げる薬)や、生活指導が行われます。
「泌尿器科は受診しづらい」と感じる男性は少なくありません。しかし、頻尿や排尿トラブルは泌尿器科で日常的に扱う症状であり、恥ずかしいことではありません。症状を我慢して放置すると、前立腺肥大症であれば進行して手術が必要になったり、感染症であれば重症化したりする可能性もあります。気になる症状があれば、早めに相談することが結果的に負担の少ない選択になります。
男性ができる頻尿対策
骨盤底筋トレーニング
男性の骨盤底筋は、肛門周囲の筋肉を意識することで鍛えられます。排尿を途中で止めるときに使う筋肉をイメージし、5秒締めて10秒緩める動作を1日数セット繰り返すことで、尿道を締める力の維持につながります。
自力での体操が続けにくい方、効果を実感しにくいという方には、医療機器を使って骨盤底筋を刺激する選択肢もあります。当院では、高強度テスラ磁気刺激(HITS™)技術を用いた「スターフォーマー」を導入しており、椅子に座ったまま着衣のまま骨盤底筋への刺激を受けることができます。

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生活習慣の見直し
就寝前のアルコール・カフェインを控える、体を冷やさない、適度な運動を続けるといった生活習慣の見直しも、頻尿対策の基本です。とくに就寝直前の水分の摂りすぎは夜間頻尿につながりやすいため、日中にこまめに水分を摂り、就寝前はまとまった量を控えるといった摂り方の工夫も効果的です。
| 見直すポイント | 具体的な工夫 |
| 水分の摂り方 | 就寝直前の大量摂取を避け、日中にこまめに摂る |
| カフェイン・アルコール | 夕方以降は控える、ノンカフェイン飲料に切り替える |
| 体の冷え | 靴下や腹巻きで下半身を温める、湯船に浸かる |
| 運動習慣 | 夕方の軽いウォーキングやストレッチを取り入れる |
| 長時間座位 | 1時間に1回は立ち上がって身体を動かす |
まとめ
男性の頻尿は、前立腺肥大症をはじめとした男性特有の原因のほか、心因性やストレス、加齢による骨盤底筋の衰えなど、さまざまな要因が関わっています。年代によって多い原因の傾向は異なりますが、いずれの場合も自己判断で放置せず、気になる症状があれば泌尿器科を受診することが早期の改善につながります。特に尿の勢いの低下や残尿感を伴う場合は、前立腺肥大症が背景にある可能性を考え、一度検査を受けておくと安心です。
当院では、頻尿をはじめとした男性の排尿トラブルについて診療を行っています。ご自身の症状について詳しく知りたい方は、男性のお悩み(症状診断)のページもあわせてご覧ください。
泌尿器科の受診に抵抗がある方もご安心ください。まずはお気軽にご相談を。
スターフォーマーは自由診療(保険適用外)です。施術費用の目安は1回8,000円〜(お試し1回5,000円、通常価格・コース料金は公式ページをご参照ください)、1コースは週2回×4週間(計8回)が目安です。まれに軽い筋肉痛のような症状が出ることがあります。
また、体内にペースメーカーや金属インプラントが入っている方、妊娠中の方などは施術を受けられない場合がありますので、事前に医師にご相談ください。
なお、スターフォーマー(FOTONA社製)は、日本国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器です。米国FDA(食品医薬品局)の認可、およびEU(欧州連合)での医療機器認証(CEマーキング)を取得しています。当院では医師の判断のもと、個人輸入により導入し、自由診療として提供しております。効果には個人差があり、主なリスク・副作用については診察時に医師が十分にご説明します。
監修者
足立 浩幸
院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科
泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。

