
トイレが近い、何度も行きたくなる。
そんな頻尿の悩みを抱えていませんか。頻尿は加齢だけが原因ではなく、過活動膀胱や生活習慣などさまざまな要因が関わっています。
この記事では、泌尿器科の視点から頻尿の原因を整理し、骨盤底筋体操や膀胱訓練といった自分でできる対策、さらに医療機関を受診すべき目安まで分かりやすく解説します。
頻尿とは?定義と正常な排尿回数

1日何回以上が頻尿か
健康な成人の場合、1日の排尿回数は4〜7回程度が一般的です。日本泌尿器科学会では、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿としています。
ただし、排尿回数には個人差があり、8回未満であっても「自分自身でトイレが近い」と感じている場合は頻尿に該当します。大切なのは回数そのものよりも、日常生活に支障が出ているかどうかです。
| 区分 | 目安となる回数 |
| 正常な排尿回数(日中) | 4〜7回程度 |
| 頻尿の目安(日中) | 8回以上 |
| 夜間頻尿の目安 | 就寝中に2回以上 |
| 1回あたりの正常な排尿量 | 200〜300mL程度 |
昼間頻尿と夜間頻尿の違い
頻尿には大きく分けて「昼間頻尿」と「夜間頻尿」があります。
昼間頻尿は、日中にトイレに行く回数が増える状態です。過活動膀胱や膀胱炎、ストレスなどが原因になることが多く、外出や仕事に支障が出やすい点が特徴です。
夜間頻尿は、就寝中にトイレのために1回以上目が覚める状態を指します。夜間多尿(夜間に作られる尿量が増えること)や睡眠障害が関わっている場合があり、睡眠の質が低下することで日中の疲労感や集中力低下につながります。高齢の方では夜間のトイレ時に転倒するリスクが高まり、骨折や寝たきりにつながる恐れもあるため、放置は禁物です。
70歳以上を対象とした国内の疫学調査では、夜間の排尿回数が2回以上の方は1回以下の方と比べて骨折発生率が高く、死亡率のハザード比も上昇したことが報告されています。 (出典:科学研究費助成事業データベース(KAKEN)/国立情報学研究所)
頻尿の主な原因
頻尿の原因は一つとは限りません。ここでは代表的な6つの原因を取り上げます。
過活動膀胱
膀胱に尿が十分に溜まっていないのに、膀胱が勝手に収縮して急に強い尿意(尿意切迫感)を感じる病気です。日本では1,000万人以上の方が罹患しているといわれ 、男女を問わず見られます。加齢のほか、脳卒中やパーキンソン病などの神経疾患が原因になることもありますが、原因がはっきりしないケースも少なくありません。(出典:日本泌尿器科学会)
過活動膀胱の症状や治療法については、排尿のお悩み(症状診断)でも詳しく解説しています。
前立腺肥大症(男性)
男性特有の原因として代表的なのが前立腺肥大症です。50歳以上の男性で頻度が増加し、大きくなった前立腺が尿道を圧迫することで尿の勢いが弱くなり、残尿が増え、結果として頻尿につながります。夜間頻尿を伴うことも多く、排尿の途切れや残尿感がある場合は前立腺肥大症の可能性があります。
膀胱炎などの感染症
細菌が膀胱に感染して炎症を起こすと、膀胱の知覚神経が刺激されて頻尿になります。女性に多い急性膀胱炎では、頻尿に加えて排尿時の痛みや残尿感を伴うのが特徴です。男性の場合は前立腺炎が原因となることもあります。
多尿(水分・薬剤・糖尿病)
体が作る尿の量が多い場合も頻尿の原因になります。
- 水分の過剰摂取:必要以上に水を飲んでいる
- カフェイン・アルコール:利尿作用がある飲料の摂りすぎ
- 薬の副作用:降圧剤(カルシウム拮抗薬など)や糖尿病治療薬などが尿量を増やすことがある
- 糖尿病:血糖値が高いと多飲多尿になりやすい
心因性(ストレス・緊張)
緊張や不安が高まると、膀胱をコントロールする自律神経のバランスが乱れ、尿が十分に溜まっていなくても尿意を感じることがあります。これを心因性頻尿といい、「トイレに行けない」と思う場面ほど症状が強くなる傾向があります。夜間にはあまり症状が出ないのが特徴です。
加齢・骨盤底筋の衰え
加齢に伴い膀胱の柔軟性が低下し、溜められる尿の量が減ることで頻尿になりやすくなります。また、骨盤底筋(骨盤の底で膀胱や子宮、直腸などの臓器を支える筋肉群)が衰えると、尿道を締める力が弱まり、頻尿や尿もれの原因になります。女性では妊娠・出産がきっかけになることも多く、男性でも加齢や運動不足によって骨盤底筋は徐々に弱くなります。
自分でできる頻尿対策

原因となる病気がない場合や、病気の治療と併せて生活面で取り組める対策を紹介します。
| 対策 | 期待できる効果 | ポイント |
| 骨盤底筋体操 | 尿道を締める力の向上 | 毎日続けることが大切 |
| 膀胱訓練 | 膀胱の容量アップ | 少しずつ間隔を延ばす |
| 水分摂取の見直し | 尿量の適正化 | 減らしすぎも脱水の原因に |
| カフェイン・アルコールの制限 | 膀胱への刺激を軽減 | 午後以降は特に控える |
| 冷え対策・適度な運動 | 血行改善・骨盤底筋の維持 | 夕方の散歩がおすすめ |
骨盤底筋体操のやり方
骨盤底筋体操は、肛門や尿道をキュッと締めて緩める動作を繰り返すトレーニングです。「おしっこを途中で止める」ときに力が入る場所が骨盤底筋です。

基本のやり方
2. 肛門と尿道を5秒間ギュッと締める
3. 力を抜いて10秒間リラックスする
4. これを10回×1日3セット繰り返す
効果の感じ方には個人差がありますが、一般的に2〜3か月程度の継続が目安とされています。お腹や太ももに力が入らないよう、骨盤底筋だけを意識して行うのがコツです。
関連記事:骨盤底筋トレーニングのやり方と効果|女性の尿もれ・頻尿改善法
膀胱訓練で「溜める力」を鍛える
尿意を感じたときにすぐトイレに行かず、少しだけ我慢する時間を設けることで、膀胱に溜められる尿の量を徐々に増やしていくトレーニングです。
- はじめは5〜15分程度の我慢から始める
- 慣れてきたら少しずつ間隔を延ばす
- 最終的に2〜3時間の排尿間隔を目標にする
無理に長時間我慢する必要はありません。「前回より少し長く溜められた」という積み重ねが大切です。
水分摂取量とタイミングの見直し
「水をたくさん飲むほど健康にいい」と思い込んで過剰に水分を摂っていませんか。水分摂取量は気温や発汗量、食事内容によって変わるため一律の基準はありませんが、大切なのは「量」だけでなく「摂るタイミング」です。
国土交通省の「健康のため水を飲もう」推進運動では、就寝前・起床時・運動の前後・入浴の前後・のどが渇く前のこまめな水分補給が推奨されています。(出典:国土交通省)
夜間頻尿がある方は、この考え方をふまえたうえで就寝直前のまとまった水分摂取を控えるのが効果的です。ただし、脱水予防のために日中の適切な水分補給は欠かさないようにしてください。
なお、「水分を多く摂ると血液がサラサラになり、脳梗塞や心筋梗塞を予防できる」と考えて、寝る前や夜間に大量の水分を摂る方がいらっしゃいますが、これを裏付ける科学的根拠はありません。夜間頻尿でお悩みの場合は、むしろ就寝前の水分を控えることが症状改善につながります。
カフェイン・アルコール・塩分の控え方
コーヒーや緑茶に含まれるカフェインには利尿作用があり、飲みすぎると頻尿の原因になります。特に午後以降は麦茶やカフェインレスの飲み物に切り替えるのがおすすめです。
アルコールも利尿作用が強く、就寝前の飲酒は夜間頻尿の大きな要因です。また、塩分の摂りすぎは体内の水分バランスを乱して夜間多尿を招くことがあるため、減塩を意識した食生活も有効です。
冷え対策と適度な運動
体が冷えると血管が収縮し、余分な水分を尿として排出しようとするため尿意が強くなります。特に下半身の冷えは膀胱を直接刺激しやすいので、靴下や腹巻きで温めるなどの工夫をしましょう。
また、夕方に軽い散歩やウォーキングを行うことで、日中に下半身に溜まった水分を汗として排出しやすくなり、就寝後にまとめて尿として排出されるのを防ぐ効果が期待できます。
対策をしても改善しないときは
セルフケアを続けても改善が見られない場合や、以下の症状がある場合は、早めに泌尿器科を受診してください。
泌尿器科を受診すべき症状チェックリスト
| こんな症状があれば受診を | 考えられる疾患の例 |
| 急に我慢できない強い尿意がある | 過活動膀胱 |
| 排尿時に痛みや灼熱感がある | 膀胱炎・尿路感染症 |
| 尿に血が混じる | 膀胱がん・腎臓の病気 |
| 尿の勢いが弱い・途切れる(男性) | 前立腺肥大症 |
| 夜間に3回以上トイレに起きる | 夜間多尿・睡眠障害 |
| 排尿後も尿が残っている感じがする | 残尿・神経因性膀胱 |
| セルフケアを2〜3か月続けても変化がない | 原因疾患の精査が必要 |
病院で行う検査と治療の流れ
泌尿器科では、まず問診で症状の経過や生活習慣を確認し、尿検査や血液検査で感染症や腎機能の異常がないかを調べます。必要に応じて超音波検査(エコー)や残尿測定、尿流量検査なども行います。
治療は原因に応じて異なりますが、代表的なものとして以下があります。
- 薬物療法:過活動膀胱には抗コリン薬やβ3作動薬、前立腺肥大症にはα1遮断薬などが使われます
- 行動療法:骨盤底筋体操や膀胱訓練を医師の指導のもとで行います
- 手術療法:薬物治療で改善しない場合や、前立腺肥大が高度な場合に検討されます
骨盤底筋を効率よく鍛える医療機器という選択肢
骨盤底筋体操がうまくできない方や、自力では十分な効果が得られない方には、医療機器を使った骨盤底筋の強化という方法もあります。
当院では、高強度テスラ磁気刺激(HITS™)テクノロジーを利用した筋肉刺激装置「スターフォーマー」を導入しています。椅子に座ったまま着衣のまま施術を受けることができ、約30分間で骨盤底筋や腰回りの筋肉に対して収縮運動を促します。薬に頼らない選択肢として、ご関心のある方はお気軽にご相談ください。
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まとめ
頻尿は、原因を正しく理解し、それに合った対策を取ることで改善が見込める症状です。まずは骨盤底筋体操や膀胱訓練、水分摂取の見直しといったセルフケアから始めてみてください。それでも改善が見られない場合は、我慢せずに泌尿器科へ相談することが大切です。
当院では、頻尿や尿もれをはじめとする排尿トラブルの診療を行っています。「トイレが近い」とお悩みの方は、お気軽にご来院ください。ご自身の症状がどのタイプに当てはまるか詳しく知りたい方は、排尿のお悩み(症状診断)のページもあわせてご覧ください。
一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
スターフォーマーは自由診療(保険適用外)です。施術費用の目安は1回8,000円〜(お試し1回5,000円、通常価格・コース料金は公式ページをご参照ください)、1コースは週2回×4週間(計8回)が目安です。まれに軽い筋肉痛のような症状が出ることがあります。
また、体内にペースメーカーや金属インプラントが入っている方、妊娠中の方などは施術を受けられない場合がありますので、事前に医師にご相談ください。
なお、スターフォーマー(FOTONA社製)は、日本国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器です。米国FDA(食品医薬品局)の認可、およびEU(欧州連合)での医療機器認証(CEマーキング)を取得しています。当院では医師の判断のもと、個人輸入により導入し、自由診療として提供しております。効果には個人差があり、主なリスク・副作用については診察時に医師が十分にご説明します。
監修者
足立 浩幸
院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科
泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。

