
「トイレが近いけれど、我慢した方がいいのかな」そんな疑問を抱えたまま、つい我慢を続けている方は多いのではないでしょうか。頻尿の原因はさまざまで、我慢が有効な場合もあれば、かえって体に負担をかけてしまう場合もあります。
この記事では、頻尿のときに我慢してよいかどうかの考え方から、我慢しすぎるリスク、ご自宅でできるセルフケア、受診の目安までをまとめました。
頻尿のとき、尿意は我慢した方がいい?
結論から言うと、「場合による」というのが正直なところです。すべての頻尿で我慢すべきとも、すべてで我慢してはいけないとも言い切れません。
一般的に、健康な成人の排尿回数は1日4〜8回程度、夜間は0〜1回が目安とされています。これを大きく超えて何度もトイレに行きたくなる場合、まず大切なのは「なぜ頻尿になっているのか」を知ることです。
たとえば、膀胱が過敏に反応して強い尿意を感じてしまう「過活動膀胱」であれば、少しずつ尿意を我慢して膀胱の容量を広げていく「膀胱訓練」が治療の一つとして推奨されています。一方、膀胱炎のように感染症が原因の場合は、我慢によって細菌が繁殖しやすくなるため、むしろこまめに排尿する方がよいとされています。
つまり、我慢してよいかどうかは原因しだいです。自己判断で長時間の我慢を続けるのではなく、まずは頻尿の原因を把握しましょう。
尿を我慢しすぎるとどうなる?知っておきたいリスク

「なるべくトイレを我慢しよう」と思って限界まで耐えてしまうと、思わぬトラブルにつながることがあります。日頃の診療でも、我慢の習慣が長く続いてから相談に来られる方がいらっしゃいますが、早めに対処しておけば防げるケースがほとんどです。
膀胱炎などの感染リスク
尿を長くためていると、膀胱内で細菌が増殖しやすくなります。日本泌尿器科学会の情報でも、排尿を我慢する習慣が膀胱炎のリスクを高める要因の一つとして挙げられています。特に女性は尿道が短いため感染が起こりやすく、注意が必要です。
膀胱が伸びきってしまう(膀胱機能の低下)
長期間にわたって尿を過度にためる習慣を続けると、膀胱の筋肉が伸びきり、収縮する力が弱まることがあります。その結果、尿が出にくくなったり、残尿感が続いたりといった症状につながる場合があります。
尿閉(尿が出せなくなる)
まれではありますが、膀胱にたまった尿を自力で出せなくなる「尿閉」を起こすケースもあります。強い下腹部の痛みを伴い、緊急の処置が必要になることもあるため、「少し我慢しすぎたかな」と感じる場面があれば早めにトイレに行く意識を持つことが大切です。
我慢が”治療”になるケースもある|膀胱訓練とは

一方で、医師の指導のもとで適切に尿意を我慢することが、症状の改善につながるケースもあります。その代表的な方法が「膀胱訓練」です。
膀胱訓練は、尿意を感じてもすぐにトイレに行かず、少しずつ排尿間隔を延ばしていくトレーニングです。過活動膀胱のように膀胱が過敏に反応しているタイプの頻尿では、膀胱にためられる尿量を徐々に増やしていくことで、トイレの回数を減らすことが期待できます。
膀胱訓練の進め方の一例
1. 尿意を感じたら、まず5分だけ我慢してみる
2. 5分が無理なく過ごせるようになったら、10分、15分と少しずつ延ばす
3. 最終的に2〜3時間ごとの排尿間隔を目指す
焦る必要はまったくありません。「今日は3分しか我慢できなかった」という日があっても、少しずつ進めていけば大丈夫です。ただし、膀胱炎など感染が疑われる場合にはこの訓練は適さないため、自己判断で始めるのではなく、一度医療機関で相談してから取り組むと安心ですよ。
頻尿の原因を知ろう
頻尿の背景には、いくつかの原因が考えられます。ご自身に思い当たるものがないか、チェックしてみてください。
| 原因 | 特徴 | なりやすい方 |
| 過活動膀胱 | 急に強い尿意が起こり、我慢しにくい | 加齢に伴い増加、男女問わず |
| 膀胱炎(尿路感染症) | 排尿時の痛みや残尿感を伴うことが多い | 女性に多い |
| 前立腺肥大症 | 尿の勢いが弱くなる、夜間頻尿 | 中高年の男性 |
| 心因性頻尿 | 緊張や不安が強い場面でトイレが近くなる | ストレスを感じやすい方 |
| 水分・カフェインの摂りすぎ | 生活習慣を見直すと改善しやすい | 誰でも起こりうる |
| 糖尿病などの全身疾患 | 多飲多尿が特徴 | 血糖コントロールが不安定な方 |
日本排尿機能学会の調査では、過活動膀胱の症状がある方は40歳以上の約12%にのぼるとされており、決してまれな症状ではありません。原因が一つとは限らず、複数が重なっていることもあるため、気になる場合は泌尿器科で詳しく調べてもらうのが確実です。
自分でできるセルフケア
原因に合わせたセルフケアを取り入れることで、頻尿の症状が和らぐことがあります。「病院に行くほどかな?」と迷っている方も、まずは生活の中でできることから試してみてください。
膀胱訓練
前述のとおり、過活動膀胱タイプの頻尿には排尿間隔を少しずつ延ばしていく膀胱訓練が有効です。尿意を感じたら深呼吸をしながら気持ちを落ち着かせ、最初は数分の我慢から始めてみましょう。
骨盤底筋トレーニング
骨盤底筋を鍛えることで、尿道をしっかり締める力が回復し、急な尿意にも対応しやすくなります。肛門・膣・尿道のあたりをキュッと締め、5秒ほどキープしてからゆっくり力を抜く動作を、1日10回×2〜3セット続けてみてください。数週間から数カ月の継続で変化を感じやすくなるとされています。
関連記事:骨盤底筋トレーニングのやり方と効果|女性の尿もれ・頻尿改善法
水分・カフェインの調整
水分を控えすぎると膀胱炎のリスクが高まるため、こまめに適量を摂ることが基本です。ただし、コーヒーや緑茶などカフェインを含む飲み物は膀胱を刺激しやすいため、夕方以降は控えめにすると夜間頻尿の軽減につながることがあります。
体重管理と適度な運動
肥満は腹圧を高め、膀胱への負担を大きくします。適正体重を維持し、ウォーキングなどの適度な運動を取り入れることは、頻尿の改善だけでなく全身の健康にも役立ちます。
病院で受けられる治療法

セルフケアを続けても改善を感じにくい場合は、医療機関での治療も選択肢です。「こんなことで病院に行っていいのかな」と思われる方もいらっしゃいますが、頻尿は泌尿器科が日常的に扱っている症状ですので、どうぞ気軽に相談してください。
| 治療法 | こんな方に向いている | 特徴 |
| 薬物療法 | 過活動膀胱や切迫性尿失禁がある方 | 膀胱の過剰な収縮を抑える |
| 行動療法(膀胱訓練指導など) | 生活指導を受けながら取り組みたい方 | 専門家のサポートで効率的に進められる |
| 磁気刺激治療(スターフォーマーなど) | 自力での継続が難しい方 | 座るだけで骨盤底筋を刺激できる |
薬物療法
過活動膀胱のタイプでは、膀胱の筋肉の過剰な収縮を抑える薬(抗コリン薬やβ3作動薬など)が用いられることがあります。症状や体質に応じて医師が薬を選択します。
関連記事:頻尿の治療薬とは|種類・効果・副作用と薬以外の選択肢【医師監修】
磁気刺激治療「スターフォーマー」
椅子に座るだけで、高強度の磁気刺激により骨盤底筋を収縮させる治療機器です。
当院でも導入しており、自分でトレーニングを続けるのが難しい方にもお使いいただけます。詳しい治療内容や費用は下記のページをご覧ください。なお、スターフォーマーは保険適用外の自由診療であり、効果や改善の程度には個人差があります。
👉 スターフォーマーについて詳しく見る
当院の受診について詳しく知りたい方は、排尿のお悩み(症状診断)ページもあわせてご覧ください。
何科を受診すればいい?受診の目安
頻尿の相談先は、泌尿器科が最も適しています。「泌尿器科は男性が行くところ」というイメージを持たれる方もいらっしゃいますが、女性の頻尿や尿漏れも泌尿器科の専門領域です。当院でも女性の患者さまにも安心して受診いただけるよう配慮しています。
次のような場合は、早めの受診をおすすめします。
・1日に10回以上トイレに行く日が続く
・夜間に2回以上トイレで目が覚める
・急な尿意が我慢できず漏れてしまうことがある
・排尿時の痛みや血尿がある
・パッドが手放せなくなった、外出を控えるようになった
「このくらいの症状で受診していいのかな」と迷われる方もいらっしゃいますが、症状が軽いうちに相談いただいた方が、シンプルな対策で済むことが多いです。お気軽にご相談ください。
まとめ
頻尿のとき尿意を我慢すべきかどうかは、原因によって変わります。過活動膀胱には膀胱訓練が有効な場合がありますが、膀胱炎などでは我慢が症状を悪化させることもあります。
まずはご自身の頻尿の原因を知り、セルフケアを試しても改善しにくい場合は泌尿器科に相談してみてください。「こんなことで」と思わず、気になったときが受診のタイミングです。
我慢すべきか迷いながら過ごしていませんか?
あなたに合った対処法を一緒に見つけましょう。
スターフォーマーは自由診療(保険適用外)です。施術費用の目安は1回8,000円〜(お試し1回5,000円、通常価格・コース料金は公式ページをご参照ください)、1コースは週2回×4週間(計8回)が目安です。まれに軽い筋肉痛のような症状が出ることがあります。
また、体内にペースメーカーや金属インプラントが入っている方、妊娠中の方などは施術を受けられない場合がありますので、事前に医師にご相談ください。
なお、スターフォーマー(FOTONA社製)は、日本国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器です。米国FDA(食品医薬品局)の認可、およびEU(欧州連合)での医療機器認証(CEマーキング)を取得しています。当院では医師の判断のもと、個人輸入により導入し、自由診療として提供しております。効果には個人差があり、主なリスク・副作用については診察時に医師が十分にご説明します。
監修者
足立 浩幸
院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科
泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。

