健康コラム
2026.07.30

5歳の子どもが頻尿?原因の多くは心因性|家庭での対応と受診の目安 

「さっきトイレに行ったばかりなのに、またトイレ?」5歳前後のお子さんが何度もトイレに行きたがるようになると、保護者の方は病気ではないかと心配になるものです。実はこの年齢の頻尿で最も多いのは、ストレスや不安がきっかけとなる「心因性頻尿」です。

本記事では、5歳児の頻尿の原因や見分け方、ご家庭でできる対応、医療機関への相談が必要なケースについてお伝えします。   

何回からが「頻尿」?子どもの排尿回数の目安

お子さんの排尿回数が多いかどうかを判断するには、年齢ごとの目安を知っておくと安心です。

年齢1日の排尿回数の目安
1〜2歳8〜12回程度
3〜4歳6〜8回程度
5〜6歳5〜7回程度
小学生以降4〜6回程度

子どもの膀胱は成長とともに容量が大きくなるため、排尿回数は年齢が上がるにつれて減っていきます。5歳を過ぎて1日の排尿が10回を超えたり、トイレの間隔が2時間より短い状態が続いたりする場合は、頻尿の可能性があります。

ただし、水分を多くとった日や緊張する場面ではトイレが近くなるのは自然なことです。「いつもと比べて明らかに多い日が続いている」かどうかが判断のポイントです。

5歳前後の頻尿で一番多い原因は「心因性頻尿」

この年齢の頻尿で最も多くみられるのが、心因性頻尿(しんいんせいひんにょう)です。膀胱や尿道に異常がないにもかかわらず、ストレスや緊張、不安などの心理的な要因でトイレの回数が増える状態を指します。

心因性頻尿にみられる特徴

次のような特徴がいくつか当てはまる場合は、心因性頻尿の可能性が考えられます。

・遊びやテレビに夢中なときはトイレに行かない
・夜寝ている間は頻尿にならない(おねしょもない)
・トイレに行っても出る量が少ない
・排尿時の痛みや発熱はない
・入園・入学・引っ越し・きょうだいの誕生など、環境の変化があった

きっかけになりやすい場面

心因性頻尿のきっかけとして多いのは、お子さんにとっての「環境の変化」や「小さなプレッシャー」です。保護者の方が思い当たらないような些細なことがきっかけになっていることもあります。

・幼稚園・保育園での行事や発表会前の緊張
・トイレトレーニング中の失敗体験
・お友達との関係の変化
・家庭環境の変化(引っ越し、きょうだいの誕生など)
・「おもらし」を強く叱られた経験

心因性以外に考えられる原因

頻尿の原因は心因性だけではありません。まれではありますが、体の病気が関わっている場合もあるため、以下のような症状がないかも確認してみてください。

原因特徴的な症状
尿路感染症(膀胱炎)排尿時の痛み、残尿感、発熱、尿のにおいの変化
過活動膀胱急に我慢できない強い尿意、ときにおもらしを伴う
尿崩症異常に水を飲みたがる、大量の薄い尿が出る
糖尿病喉の渇き、体重減少、多飲多尿
便秘硬い便が膀胱を圧迫し、頻尿や尿漏れの原因になることがある

排尿時の痛みや発熱、血尿、極端に水を欲しがるといった症状を伴う場合は、心因性ではなく体の病気が原因の可能性があるため、早めに医療機関を受診してください。

家庭でできる対応|親の関わり方が大切

心因性頻尿の場合、特別な薬や処置が必要になることはほとんどありません。ご家庭での接し方が、お子さんの症状を和らげるうえでとても大切です。

トイレの回数を気にしすぎない

保護者の方が「またトイレ?」「さっき行ったでしょう」と反応すると、お子さんは「トイレに行くことがいけないこと」と感じてしまい、かえって不安が強まることがあります。トイレに行きたいと言ったときは、できるだけさりげなく対応しましょう。

叱らない・責めない

おもらしをしてしまったときも叱らず、「大丈夫だよ」と声をかけてあげてください。お子さん自身も困っていることが多いため、安心させてあげることが回復の近道です。

楽しい活動で気持ちをそらす

外遊びやお気に入りの遊びに夢中になっているとき、トイレの回数が減ることはよくあります。体を動かす遊びを一緒に楽しむ時間を意識して作ると、自然と改善に向かうことがあります。

生活リズムを整える

十分な睡眠と規則正しい生活は、自律神経のバランスを整えるうえで大切です。お子さんが安心して過ごせる環境づくりを心がけてみてください。

排尿の記録をつけてみる

「何時にトイレに行ったか」「量は多かったか少なかったか」を簡単にメモしておくと、受診時に役立ちます。2〜3日分の記録があれば、医師も状態を把握しやすくなります。頻尿が日中だけなのか夜間も含むのか、特定の場面で増えるのかなど、パターンが見えてくることもあります。

受診の目安と相談先

「様子を見ていていいのか、病院に行った方がいいのか」と迷ったときの判断材料をまとめました。

早めに受診した方がよいケース

・排尿時に痛みがある
・発熱を伴っている
・血尿がみられる
・極端に水を飲みたがる
・頻尿が2週間以上改善しない
・お子さんの様子が明らかにつらそう

何科を受診すればいい?

子どもの頻尿は、泌尿器科または小児科で相談できます。泌尿器科では尿検査や超音波検査など、排尿に関する詳しい検査が受けられるため、原因をしっかり調べたい場合に適しています。当院でもお子さんの排尿トラブルやおねしょの診療を行っておりますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。

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おねしょ(夜尿症)との違い

昼間の頻尿とおねしょ(夜尿症)は、似ているようで別の症状です。混同されやすいので整理しておきます。

昼間の頻尿おねしょ(夜尿症)
起きるタイミング日中、起きている間夜間、寝ている間
本人の自覚尿意を感じてトイレに行く本人は気づいていない
5歳での受診目安1日10回超が続く場合5歳を過ぎても月に数回以上続く場合

心因性頻尿のお子さんは、夜間のおねしょがないことが多いのも特徴です。一方、おねしょが続いている場合は夜尿症として別の対応が必要になることがあります。どちらも泌尿器科で相談できますので、気になる症状があれば合わせてお伝えください。

まとめ

5歳前後のお子さんの頻尿は、心因性であるケースが多く、ご家庭での温かい見守りと安心できる環境づくりが改善につながります。排尿時の痛み・発熱・血尿・強い口渇といった症状を伴う場合は早めに受診してください。

「このくらいで受診していいのかな」と思うかもしれませんが、お子さんの排尿トラブルは泌尿器科が日常的に扱っている相談です。気になることがあれば、お気軽にお声がけください。 

監修者

足立浩幸

足立 浩幸

院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科

泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。