健康コラム
2026.09.28

尿路結石とは?原因・症状・治療法を泌尿器科医が解説

突然の激しい腰やわき腹の痛みに襲われ、「これは何の病気だろう」と不安になった経験はありませんか。その痛みの原因は、尿路結石かもしれません。尿路結石は日本泌尿器科学会「尿路結石症診療ガイドライン」でも報告されているように、 日本人男性の約7人に1人、女性の約15人に1人が生涯で経験するとされる身近な病気です。

この記事では、尿路結石の仕組みや原因から症状の特徴、検査・治療の流れ、再発を防ぐためのポイントまで泌尿器科医が分かりやすくお伝えします。  

尿路結石とは|仕組みと原因

尿路結石とは、腎臓から尿管・膀胱・尿道にかけての「尿の通り道(尿路)」に、石のように硬い塊ができる病気です。

尿にはカルシウムやシュウ酸、尿酸、リン酸などさまざまな成分が溶けています。通常はそのまま体の外へ排出されますが、水分不足や食事の偏りなどで尿中の成分バランスが崩れると、成分が結晶化して少しずつ固まり、結石が形成されます。

尿路結石ができるメカニズム

結石ができる流れを簡単にまとめると、次のとおりです。

  1. 尿中のシュウ酸やカルシウムなどが過飽和状態になる
  2. 結晶の核が腎臓の中で作られる
  3. 結晶同士がくっつき合い、タンパク質などを巻き込みながら大きくなる
  4. 一定の大きさになると腎臓から尿管へ流れ出し、途中で引っかかると痛みが生じる

結石が腎臓の中にとどまっている間は痛みを感じないことも多く、健康診断のエコー検査やCTで偶然見つかるケースも珍しくありません。

尿路結石になりやすい人の特徴

以下のような生活習慣や体質を持つ方は、結石ができやすい傾向があります。

・水分摂取が少ない方(1日の尿量が少ない)
・肉類や塩分を多く摂る食生活の方
・肥満やメタボリックシンドロームの傾向がある方
・家族に尿路結石の経験者がいる方
・汗をかきやすい仕事・運動をしていて水分補給が不足しがちな方

とくに30〜50代の男性に多く、近年は食生活の欧米化に伴い患者数が増加傾向にあると日本泌尿器科学会でも指摘されています。

尿路結石の種類|できる場所と結石の成分

場所による分類

結石ができる場所によって名前や症状の出方が異なります。

種類できる場所主な特徴
腎結石腎臓の中無症状のことが多い。大きくなると腰の鈍痛が出ることがある
尿管結石腎臓と膀胱をつなぐ尿管突然の激痛(疝痛発作)が起きやすい。最も痛みが強いとされる
膀胱結石膀胱の中排尿時の痛み、頻尿、残尿感などが出やすい
尿道結石尿道排尿困難や排尿時の痛みが起きる。頻度は比較的少ない

全体の96%以上は腎臓か尿管にできる「上部尿路結石」です。

結石の成分による分類

結石はその成分によっても分類され、再発予防の食事指導は結石の成分によって変わります。

成分割合の目安特徴
シュウ酸カルシウム結石約70〜80%最も多い。ほうれん草・たけのこなどシュウ酸を多く含む食品と関連
リン酸カルシウム結石約5〜10%尿がアルカリ性に傾くとできやすい
尿酸結石約5〜10%プリン体の多い食事や肥満と関連。X線に写りにくい
感染結石(リン酸マグネシウムアンモニウム結石)約5%前後尿路感染症に伴い発生。女性に多い傾向
シスチン結石約1%前後遺伝的な代謝異常によるもの。若年で発症することがある

※割合は目安であり、報告によって幅があります。

参考:日本泌尿器科学会 尿路結石症診療ガイドライン

尿路結石の症状|疝痛発作とその他のサイン

突然の激痛(疝痛発作)が起きる理由

尿路結石の最も特徴的な症状は、「疝痛発作(せんつうほっさ)」と呼ばれる突然のわき腹から腰にかけての激しい痛みです。

この痛みは、結石が尿管に詰まって尿の流れがせき止められ、腎臓の内圧が上がることで起こります。「人間が経験する痛みの中でも最も強いもののひとつ」と表現されることもあり、じっとしていられないほどの痛みで、体の向きを変えても楽にならないのが特徴です。

痛みは数十分から数時間続き、結石が少し動くと収まり、また詰まると再発するという波があることも多いです。

血尿・吐き気・発熱などの随伴症状

激痛のほかにも、次のような症状を伴うことがあります。

・血尿(肉眼で分かる赤い尿、または検査で見つかる程度のもの)
・吐き気・嘔吐
・冷や汗
・下腹部や太ももの内側への放散痛
・頻尿・残尿感(結石が膀胱付近にある場合)
・発熱(尿路感染症を合併している場合。38℃以上の発熱がある場合は緊急性が高いため、速やかな受診が必要です)

痛みがない場合もある?無症状の尿路結石

腎臓の中にとどまっている結石は、尿の流れを妨げていなければ痛みが出ないこともあります。健康診断の腹部エコーやCT検査で偶然発見されるケースも珍しくありません。

ただし、無症状でも結石が大きくなれば将来的に痛みや合併症の原因になりえます。見つかった場合は放置せず、泌尿器科で経過観察の計画を立てておくことが大切です。

尿路結石の検査と診断

泌尿器科で行う主な検査

尿路結石が疑われるとき、一般的に行われる検査は以下のとおりです。

検査内容わかること
尿検査尿中の血液成分・結晶・pH・感染の有無を調べる血尿の有無、尿路感染の有無
血液検査腎機能(クレアチニンなど)や尿酸値、カルシウム値を確認腎臓への影響、結石のリスク因子
腹部超音波(エコー)検査体の外から超音波を当てて画像を得る。被ばくがない腎臓の腫れ(水腎症)の有無、腎結石の確認
腹部X線(KUB)お腹のレントゲン撮影カルシウム系結石の位置・大きさ(尿酸結石は写りにくい)
CT検査最も診断精度が高い画像検査結石の位置・大きさ・数を正確に把握できる。ほぼすべての結石を検出可能

CT検査が尿路結石の診断において最も確実な方法とされており、緊急時にもよく用いられます。

検査の詳しい流れは診療案内ページ「尿路結石症」でもご案内しています。 

尿路結石の治療法|サイズによる対応の違い

治療方針は結石の大きさによって大きく分かれます。

自然排出が期待できるケース(小さな結石の場合)

直径がおおむね5mm以下の結石は、十分な水分摂取や適度な運動、必要に応じた鎮痛薬の使用により、自然に尿とともに排出されることが期待できます。痛みが強い場合は鎮痛薬や尿管の緊張を和らげる薬を処方し、排石を待ちます。

自然排出までにかかる期間は結石の大きさや位置によって異なりますが、数日から数週間が目安です。経過中は定期的に画像検査で結石の位置を確認します。

手術が検討されるケース

結石がおおむね10mm以上ある場合や、自然排出が見込めない場合、腎機能に影響が出ている場合、感染を合併している場合などには、積極的な治療が検討されます。

腎臓結石が見られた場合の、大きさや部位による手術方法
尿管結石が見られた場合の、大きさや部位による手術方法
治療法方法適応の目安
ESWL(体外衝撃波結石破砕術)体の外から衝撃波を当てて結石を砕き、自然排出を促す比較的小さめの結石(10〜20mm程度)。体への負担が少ない
TUL(経尿道的尿管結石砕石術)尿道から細い内視鏡を挿入し、レーザーなどで結石を砕いて回収する尿管結石に広く用いられる。現在の主流の手術法
PNL(経皮的腎砕石術)背中から腎臓に直接針を刺し、内視鏡で大きな結石を砕いて取り出す20mm以上の大きな腎結石やサンゴ状結石

5〜10mmの結石は、位置や症状、患者さんの状態に応じて自然排出を試みるか手術に進むかを個別に判断します。

各治療法(ESWL・TUL・PNL)のより詳しい内容は、診療案内ページ「尿路結石症」でご確認いただけます。 

再発を防ぐために|食事と生活習慣のポイント

尿路結石は再発率が高い病気で、治療後5年以内に約半数が再発するとの報告があります。(参考:日本泌尿器科学会)再発を防ぐには、日々の食事や生活習慣を見直すことが重要です。主なポイントは以下のとおりです。

・水分をしっかり摂る:1日2リットル以上の水分摂取を心がけ、尿を薄く保つ
・カルシウムは適度に摂る:カルシウムを減らすと逆にシュウ酸の吸収が増えるため、乳製品や小魚などから適度に補う
・塩分・動物性たんぱく質を摂りすぎない:尿中のカルシウム排出量が増える原因になる
・シュウ酸を多く含む食品に注意する:ほうれん草・たけのこ・チョコレート・紅茶などは摂りすぎに気をつける
・就寝前の過食を避ける:就寝中は尿が濃縮されやすいため、夕食は就寝の4時間前までに済ませるのが望ましい

結石の成分によって注意すべき食品が変わるため、治療時に排出された結石の成分分析を受けておくと、より的確な予防策につながります。

関連記事:尿路結石を予防する食事とは?避けたい食品・おすすめの食べ方

尿路結石かも?と思ったときの受診先

尿路結石の診断・治療は泌尿器科が専門です。

突然の強い腰痛やわき腹の痛み、血尿などがあるときは、早めに泌尿器科を受診してください。とくに38℃以上の発熱を伴う場合は、腎盂腎炎などの合併症が疑われるため、夜間・休日でも速やかに医療機関を受診することが大切です。

痛みが激しく動けないような場合は、救急外来の利用も選択肢の一つです。尿路結石と似た症状を示す他の病気(大動脈解離、急性膵炎など)を除外する意味でも、我慢しすぎずに医療機関を頼ってください。

まとめ

尿路結石は、尿中の成分が結晶化して尿の通り道に石ができる病気です。激しい痛み(疝痛発作)が特徴ですが、腎臓内にある間は無症状のことも多く、知らないうちに進行していることがあります。

小さな結石は自然排出を待てる場合もありますが、大きさや症状によっては手術が必要になることもあります。また、治療後の再発率が高い病気でもあるため、水分摂取や食事を含めた生活習慣の見直しが重要です。

腰やわき腹に急な強い痛みを感じたとき、血尿が出たとき、あるいは健診で結石を指摘されたときは、お早めに泌尿器科へご相談ください。


監修者

足立浩幸

足立 浩幸

院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科

泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。