健康コラム
2026.09.28

尿路結石を予防する食事とは?避けたい食品・おすすめの食べ方

尿路結石は再発しやすい病気として知られており、治療後5年以内に約半数が再び経験するとの報告もあります。再発を防ぐうえで、毎日の食事は大きな役割を果たします。

この記事では、結石と食事の関わりから、控えたい食品や積極的に摂りたい栄養素、調理の工夫、結石の種類に応じた食事のポイントまで、泌尿器科医が分かりやすくお伝えします。

尿路結石と食事の関係|なぜ食べ物が結石に影響するのか

結石ができるメカニズムと食事の関わり

尿路結石は、尿の中に溶けているシュウ酸やカルシウム、尿酸などの成分が結晶化して固まることで生じます。通常はこれらの成分がバランスを保ちながら尿として排出されますが、食事の内容や水分量によってバランスが崩れると、結石ができやすくなります。

食事が結石形成に影響するおもな経路は次のとおりです。

シュウ酸の摂取ほうれん草やチョコレートなどに含まれるシュウ酸は、腸で吸収されたあと尿中に排出され、カルシウムと結びついて結石の原料になる
動物性タンパク質の過剰摂取尿を酸性に傾け、尿酸やシュウ酸カルシウムの結石が生じやすい環境をつくる
塩分の摂りすぎ尿中へのカルシウム排出量を増やし、結石の材料を増加させる

つまり、毎日の食事で何をどれだけ食べるかが、結石の「材料」と「できやすさ」の両方に直接影響しているのです。

「尿路結石症」について詳しく知りたい方は、「尿路結石症のお悩み」もご覧ください。

再発率が高い病気だからこそ食事が重要

尿路結石は再発率が5年で約50%と高く、適切な診断とあわせて再発予防が重要な病気です。薬や手術で結石を取り除いても、食生活が同じままでは再びできてしまう可能性があります。 

食事の見直しは、日常のなかで最も取り組みやすい予防策です。ここからは「控えたいもの」「摂りたいもの」「食べ方の工夫」に分けて、具体的に紹介します。

結石を防ぐために控えたい食品・成分

シュウ酸を多く含む食品

尿路結石のうち最も多いのがシュウ酸カルシウム結石で、全体の約80%を占めるとされています。シュウ酸を多く含む食品を摂りすぎると、尿中のシュウ酸濃度が上がり、結石のリスクが高まります。

シュウ酸の量食品の例
とくに多いほうれん草、たけのこ、玉露・煎茶、チョコレート・ココア
やや多い紅茶、コーヒー、キャベツ、ブロッコリー、未熟なバナナ、アーモンドなどのナッツ類
少ない小松菜などほうれん草以外の葉物野菜、麦茶

(参考:日本新薬株式会社「尿路結石症を知る」) 

同じ葉物野菜でも小松菜はシュウ酸が格段に少ないため、ほうれん草の代わりとして使いやすい食材です。

動物性タンパク質の摂りすぎ

肉や魚を大量に食べる習慣があると、体内で酸が多く作られ、尿が酸性に傾きます。酸性の尿は尿酸結石やシュウ酸カルシウム結石ができやすい環境です。また、動物性脂肪はカルシウムと腸内で結合しやすく、その結果シュウ酸が吸収されやすくなる面もあります。

目安として、肉・魚・卵をバランスよく組み合わせ、1食あたり手のひらサイズ程度にとどめるのが望ましいとされています。

塩分(ナトリウム)の摂りすぎ

塩分を多く摂ると、腎臓がナトリウムと一緒にカルシウムも尿中に排出してしまいます。結果として尿中のカルシウム濃度が上がり、結石の材料が増えることになります。

日本人の1日あたりの食塩摂取目標量は男性7.5g未満・女性6.5g未満ですが、実際の摂取量はこれを上回りがちです。味付けを少し控えめにするだけでも、結石予防につながります。(厚生労働省「日本人の食事摂取基準 2020年版」)

プリン体を多く含む食品

プリン体は体内で分解されると尿酸に変わります。尿酸値が高い状態が続くと、尿酸結石だけでなくシュウ酸カルシウム結石のリスクも上がるとされています。

プリン体が多い食品目安
鶏・豚・牛のレバー100gあたり200mg以上
白子(しらこ)100gあたり300mg以上
マイワシ・マアジの干物100gあたり200mg以上
ビールアルコール類のなかでも多い

(参考:日本痛風・尿酸核酸学会)

レバーや干物を頻繁に食べる習慣がある方は、頻度を見直してみてください。

ビタミンCの過剰摂取にも注意

ビタミンCは体内で代謝されると、一部がシュウ酸に変換されます。食品から通常量を摂る分には問題ありませんが、サプリメントで1日1,000mg以上を長期間摂り続けると結石リスクが高まる可能性があります。

シュウ酸カルシウム結石の経験がある方は、ビタミンCのサプリメントの使用について主治医に相談するのが安心です。

積極的に摂りたい食品・栄養素

カルシウムを適度に摂る

「結石の成分にカルシウムが含まれるなら、カルシウムを控えたほうがいいのでは」と思われがちですが、これは誤解ですよ。

カルシウムを十分に摂ると、腸のなかでシュウ酸とカルシウムが先に結合し、便として体外に排出されます。その結果、尿中に流れ出すシュウ酸の量が減り、結石ができにくくなるのです。カルシウム摂取量を減らすと、腸内で結合しきれなかったシュウ酸が尿に回るため、かえってリスクが上がります。

おすすめの食品は牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品、小魚、豆腐などです。毎食少しずつ取り入れることで、シュウ酸の吸収を抑える効果が期待できます。

クエン酸を含む食品

クエン酸には、尿中でカルシウムが結晶化するのを抑える働きがあります。

・レモン・グレープフルーツなどの柑橘類
・梅干し・お酢

レモン水を日常的に飲む習慣は、水分補給とクエン酸摂取を同時にかなえる手軽な方法です。

水分をしっかり摂る

結石予防の基本は、尿を薄くして結晶ができにくい状態を保つことです。1日の尿量が1,000mL以下になると結石リスクが高まり、2,000mL以上になるとリスクが低下するとの報告があります(参考:四谷メディカルキューブ)。

当院でも尿路結石症の予防3ヶ条の一つとして水分摂取を挙げており、牛乳・ミネラルウォーター・麦茶・ほうじ茶を良い飲み物としてお伝えしています。牛乳はカルシウムを多く含み、結石の発生を抑える働きも期待できます。

一方、玉露・抹茶・ウーロン茶などシュウ酸を多く含むお茶は、結石を促進させる可能性があるため、飲みすぎには注意が必要です。甘いジュースやアルコールも、糖質や尿酸値の面からおすすめできません。

目安として、現在の水分量に500mL程度を上乗せして、1日2リットル以上を目標にしてみてください。汗をかく夏場や運動後は意識的にさらに多く摂りましょう。

食べ方の工夫で結石リスクを下げる

シュウ酸を減らす調理のコツ

シュウ酸は水に溶けやすい性質があります。この特徴を活かした調理のポイントは以下のとおりです。

ゆでこぼす

ほうれん草やたけのこは、たっぷりの湯でゆでてから水にさらすと、シュウ酸を約半分まで減らすことができます。

あく抜きをしっかり行う

山菜やたけのこは、米ぬかや重曹を使ったあく抜きが有効です。

「シュウ酸が多い食品だから一切食べない」のではなく、調理法を工夫して上手に取り入れることが、無理なく続けるコツです。

カルシウムとの食べ合わせ

シュウ酸の多い食品を食べるときに、カルシウムを含む食品を一緒に摂ると、腸のなかでシュウ酸と結合して便から排出されやすくなります。

食べ合わせの例ポイント
ほうれん草のおひたし+かつお節かつお節のカルシウムがシュウ酸と結合
ほうれん草+しらす小魚のカルシウムが効果的
紅茶にミルクを加えるミルクティーにすることでシュウ酸の吸収を抑える
チョコレートと牛乳カカオ由来のシュウ酸をカルシウムで相殺
食後にヨーグルト食事全体のシュウ酸吸収を和らげる

食事のタイミングにも注意

食後2〜4時間は尿中のシュウ酸やカルシウム濃度が最も高くなる時間帯です。この時間帯に就寝すると、睡眠中に尿が濃縮されて結石ができやすくなります。

夕食は就寝の4時間前までに済ませることが推奨されています。たとえば23時に就寝する方は、19時までに夕食を終えるのが望ましいでしょう。当院の尿路結石症の予防3ヶ条でも「夕食を食べすぎない」「寝る前に食事をしない」ことをお伝えしています。また、1日の食事を3食に分け、まとめ食いを避けることも、尿中成分の急激な変動を防ぐ意味で効果的です。 

結石の種類別に気をつけたい食事のポイント

結石の成分によって、とくに注意すべき食品や意識して摂りたいものが異なります。治療時に結石が回収できた場合は成分分析を受けておくと、より的確な予防策を立てることができます。

結石の種類とくに控えたいもの意識して摂りたいもの
シュウ酸カルシウム結石(最多)シュウ酸を多く含む食品(ほうれん草・紅茶・チョコなど)、動物性脂肪カルシウム(乳製品・小魚)、クエン酸(柑橘類)
尿酸結石プリン体の多い食品(レバー・干物・ビール)、動物性タンパク質野菜・海藻・きのこ(尿をアルカリ化)、水分
リン酸カルシウム結石アルカリ性食品の過剰摂取医師の指示に基づく食事管理
シスチン結石動物性タンパク質(メチオニン含有)水分を十分に摂る(1日3L以上が目安になることも)

自分の結石がどの種類かわからない場合は、シュウ酸カルシウム結石を基本とした食事(シュウ酸を控え、カルシウムと水分を十分に摂る)を心がけるのが一般的です。詳しい検査や診断については、当院の尿路結石の診療案内をご覧ください。

結石ができる仕組みや種類、症状について基礎から知りたい方は、尿路結石とは?原因・症状・治療法を泌尿器科医が解説もあわせてご覧ください。 

まとめ

尿路結石の再発を防ぐには、「シュウ酸を控える」「カルシウムとクエン酸を積極的に摂る」「水分をしっかり補給する」「就寝前の食事を避ける」という4つの柱を日常に取り入れることが大切です。食べ方やタイミングの工夫で、好きな食品を無理にやめなくてもリスクを減らすことはできます。

結石の種類によって注意点が変わるため、過去に結石を経験された方は成分分析の結果をもとに主治医と相談しながら食事を見直してみてください。


監修者

足立浩幸

足立 浩幸

院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科

泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。