健康コラム
2026.10.26

尿路結石の激痛で救急車を呼んでいい?判断の目安と夜間の対処法

深夜や休日に突然わき腹を襲う激痛。「もしかして尿路結石?」「この痛みで救急車を呼んでもいいの?」と迷う方は多いのではないでしょうか。結論から言えば、自力で動けないほどの痛みであれば救急車を呼ぶことは決しておかしくありません。

この記事では、救急要請の判断の目安や、注意すべき危険なサイン、救急外来での対応の流れについてお伝えします。 

尿路結石の痛みで救急車を呼んでもいい

動けないほどの激痛なら無理に我慢しない

尿路結石による疝痛発作(せんつうほっさ)は、「のたうち回るほどの痛み」と表現されることもあるほど強烈です。体の向きを変えても楽にならず、冷や汗や吐き気をともなうこともよくあります。

このような状態で自力で病院まで移動するのが難しい場合、救急車を呼ぶことは適切な判断です。「大げさではないか」と感じてためらう方もいますが、実際に尿路結石の痛みで救急搬送されるケースは珍しいことではありません。

ただし命に関わる緊急性は高くない病気

一方で知っておいていただきたいのは、尿路結石の痛みそのものは、多くの場合は命に直結するものではないということです。痛みの原因は結石が尿管を刺激して起こるけいれん性の収縮であり、適切な痛み止めを使えば症状はやわらぐことが多いです。

ただし、発熱をともなう場合は話が変わります。感染症を合併している可能性があり、早急な対応が必要です(詳しくは後述します)。

疝痛発作の仕組みや、結石の場所による痛みの違いについては、「尿管結石と尿路結石の違いは?部位で変わる痛みの強さを解説」もあわせてご覧ください。※コラム公開後にリンク設定

救急要請の目安になる症状

「この痛みで救急車を呼んでいいのか」と迷ったとき、以下の症状を判断の目安にしてください。

自力で動けない・激痛が30分以上続く

尿路結石の疝痛発作は波のように強まったり弱まったりを繰り返しますが、強い痛みが30分以上続いて自力での移動が困難な場合は、無理をせず救急車の要請を検討してください。とくに深夜や休日など、すぐに受診できる医療機関がないタイミングでは、我慢を続けるよりも早めの判断が大切です。

吐き気や嘔吐が止まらない

強い痛みに加えて吐き気や嘔吐が繰り返し起こり、水分もとれない状態になっている場合も、救急要請を考える目安です。脱水が進むと全身の状態が悪化するおそれがあるため、早めの点滴処置が望ましいケースがあります。

注意したい危険なサイン

疝痛発作の痛み自体は命に関わることがほとんどありませんが、以下のサインがある場合は緊急性が高くなります。

38℃以上の発熱がある場合はすぐに受診を

結石によって尿の流れがせき止められた状態で細菌感染が加わると、腎盂腎炎(じんうじんえん)を引き起こすことがあります。高熱・悪寒・ふるえをともなう場合は、敗血症など重い合併症に進むおそれがあるため、ためらわず救急車を呼んでください。

結石だけの場合と感染が加わった場合の違い

結石による痛みのみ感染を合併している場合
痛みわき腹〜背中の激痛(波がある)同様の痛み+持続的な腰背部痛
発熱なし、または微熱程度38℃以上の高熱・悪寒
全身状態痛み以外は比較的保たれるぐったり・意識がぼんやり
緊急性痛みの管理が中心すみやかな医療介入が必要

このように、発熱の有無が緊急性を見分ける重要なポイントです。痛みだけであれば痛み止めで対応できることが多いですが、高熱がある場合は放置しないでください。

救急車を呼ぶか迷ったときは

#7119(救急安心センター事業)に電話する

「救急車を呼ぶほどかどうかわからない」というとき、#7119(救急安心センター事業)に電話すると、看護師や相談員が症状を聞き取り、救急車を呼ぶべきか、自分で病院に行くべきかをアドバイスしてくれます。

#7119は多くの地域で利用できますが、一部対応していない地域もあります。お住まいの地域の救急相談窓口をあらかじめ確認しておくと、いざというとき安心です。

結石の痛みが起きたときの応急的な対応や、痛みの感じ方の詳しい解説については、「尿路結石はどんな痛み?」の記事(公開予定)もご覧ください。

救急外来を受診するとどうなる?

「救急外来に行ったらどうなるの?」という不安をお持ちの方も多いかもしれませんね。尿路結石で救急外来を受診した場合の一般的な流れをご紹介します。

まずは痛み止めの注射・点滴

救急外来ではまず、痛みを抑えることが最優先です。鎮痛剤の注射や点滴が行われ、多くの場合は数十分ほどで痛みがやわらぎます。あわせて尿検査や血液検査、CT検査などで結石の位置や大きさを確認します。

帰宅して後日あらためて泌尿器科を受診するケースが多い

結石が小さく、感染の兆候もない場合は、痛み止めの処方を受けてその日のうちに帰宅となるケースがほとんどです。「入院になるのでは」と心配される方もいますが、緊急手術が必要になるのは感染を合併している場合や、結石が大きく自然排出が見込めない場合などに限られます。

帰宅後は、できるだけ早めに泌尿器科を受診し、結石の状態や今後の治療方針について相談されることをおすすめします。

当院の尿路結石の検査・治療については、診療案内「尿路結石症のお悩み」もあわせてご覧ください。

発作を繰り返さないために

日常生活の中でできる再発予防

尿路結石は再発しやすい病気です。一度発作を経験された方は、以下のような生活習慣の見直しが予防に役立ちます。

・水分をしっかり摂る:1日2リットル以上の水分摂取が目安です。尿量を増やすことで結石ができにくい環境をつくります
・食事内容を見直す:塩分・動物性タンパク質・シュウ酸の摂りすぎに注意し、カルシウムやクエン酸を意識して摂る
・定期的に泌尿器科を受診する:自覚症状がなくても結石が再びできていることがあるため、画像検査による経過観察が大切です

食事面での具体的な予防法は、「尿路結石を予防する食事とは?避けたい食品・おすすめの食べ方」で詳しくまとめています。

まとめ

尿路結石の痛みで救急車を呼ぶことは、決して大げさなことではありません。自力で動けないほどの激痛があれば、無理に我慢せず救急車を呼んでよいと考えてください。とくに38℃以上の発熱をともなう場合は感染の合併が疑われ、早急な対応が必要です。

救急外来では痛み止めの処置を受けて帰宅できるケースが多く、必要以上に不安に感じることはありません。発作が治まったあとは泌尿器科であらためて結石の状態を確認し、再発予防に取り組むことが大切です。


監修者

足立浩幸

足立 浩幸

院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科

泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。