健康コラム
2026.07.23

骨盤底筋群の動きがわからない方へ|正しく鍛えるコツと対処法

「トレーニングをしているつもりだけど、本当に動いているのか正直わからない。」

診察の中で、こうしたお声をよく聞きます。骨盤底筋群は体の奥にあるインナーマッスルのため、腕や脚の筋肉のように動きを目で見たり、はっきり感じ取ったりすることが難しい筋肉です。

この記事では、骨盤底筋群の動きが分かりにくい理由から、感覚をつかむためのセルフチェック法、正しく鍛えるコツ、そして自己流では難しいと感じたときの対処法まで、順を追ってお伝えします。 

骨盤底筋群とは?わかりにくい理由

骨盤底筋群の場所と役割

骨盤底筋群は、骨盤の底にハンモックのように広がる筋肉の集合体です。膀胱・子宮・直腸といった臓器を下から支え、尿道や腟、肛門の開閉をコントロールするという重要な役割を担っています。

場所を確認する際は、椅子に座って手のひらを上向きにしてお尻の下に置いてみてください。指先に触れる左右の硬い骨の出っ張りが坐骨結節で、その間に骨盤底筋群が張っています。

なぜ骨盤底筋群は「動きを感じにくい」のか

骨盤底筋群の動きがわかりにくいのには、はっきりとした理由があります。

・体の深部にあるインナーマッスルで、直接目で見ることができない
・腕や脚の筋肉と違い、関節がないため動きを実感しづらい
・普段の生活で意識的に使う機会がほとんどない
・収縮させても、周囲の筋肉(お腹・お尻・太もも)の動きと混同しやすい

つまり「動きがわからない」のは、決して珍しいことでも、能力の問題でもありません。構造上、感覚をつかみにくい筋肉である、というのがまず知っておいていただきたいポイントです。

実は多い「正しく収縮できていない」人

うまくいかないのは「筋肉の使い方」の問題かも 

骨盤底筋群の収縮がうまくいかないのは、決して特別なことではありません。自分では「締めているつもり」でも、実際に診察で確認すると、うまく動かせていないケースは珍しくないのです。

自己流のトレーニングをしばらく続けても変化を感じられない場合、それは努力が足りないのではなく、筋肉の使い方そのものが違っている可能性があります。これを知っておくと、少し肩の荷が下りるはずですよ。  

自己流でありがちな間違い

骨盤底筋群を鍛えようとするとき、多くの方が無意識にやってしまう間違いがあります。

ありがちな間違い起きていること
お腹に力を入れていきむ腹圧がかかり、骨盤底がかえって押し下げられる
お尻や太ももを締める骨盤底筋群ではなく別の筋肉が動いている
呼吸を止めてしまう力みが生じ、正しい収縮がしづらくなる
短時間で結果を求める焦りから力みが強くなり、余計に感覚をつかみにくくなる

力を入れれば入れるほどお腹が硬くなり、肝心の骨盤底筋群はほとんど動いていない、というのはよくあるパターンです。診察で力の入れどころを確認し、修正していくと、収縮の感覚がつかみやすくなります。 

骨盤底筋群の動きをつかむセルフチェック法

排尿を途中で止めてみる

排尿中に尿を一瞬だけ止められるかどうかは、骨盤底筋群が正しく働いているかを確認する目安の一つです。途中で尿を止められれば、骨盤底筋群を正しく収縮させられているサインです。ただし、これは確認のためのテストであり、毎回の排尿時に行う習慣にはしないでください。頻繁に行うと膀胱への負担が増える可能性があります。

指や鏡を使って確認する方法

より具体的に動きを確認したい場合は、以下の方法も参考になります。

お腹に手を当てて確認する
骨盤底筋群を締めたときにお腹が硬くならなければ、正しく動かせています

入浴中に腟の中へ清潔な指を入れて確認する
締めたときに指を圧迫するような感覚があれば、正しく収縮できています

手鏡で会陰部の動きを見る
力を入れたときに会陰部(肛門と腟の間の部位 )が体の内側へ引き込まれるように見えれば良い動きです。逆に外側にふくらむように見える場合は、力の入れ方が違っている可能性があります

これらのセルフチェックは、あくまで自分の感覚をつかむための手がかりです。判断が難しい場合や不安がある場合は、無理に自己判断せず、医療機関でご相談ください。

感覚をつかみやすくする姿勢とコツ

仰向け・四つ這いなど、力を抜きやすい体勢

骨盤底筋群の動きは、体勢によって感じやすさが変わります。特に、内臓の重みが骨盤底筋群に直接かからない姿勢は、動きを意識しやすいとされています。

姿勢特徴
仰向け最も力を抜きやすく、初めての方におすすめ
四つ這い内臓の重みが頭側へ移動し、骨盤底筋群への負担が軽くなる
座位・立位感覚がつかめてきた後のステップアップに向いている

まずは仰向けか四つ這いの姿勢で、肛門・腟・尿道を体の内側にそっと引き上げるように力を入れてみてください。

関連記事:骨盤底筋トレーニングのやり方と効果|女性の尿もれ・頻尿改善法

「締める」より「引き上げる」イメージを持つ

「締める」という言葉から、つい力任せにぎゅっと力を入れてしまう方が多いのですが、それがお腹やお尻に力が入る原因になっていることがあります。「下からエレベーターを1階ずつ引き上げる」ようなイメージで、そっと内側に引き込む感覚を意識すると、余計な力みが抜けやすくなります。

なお、当院で行っているトレーニング指導やセルフケアの具体的な手順については、別記事「骨盤底筋トレーニングのやり方と効果」でも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。自分の力だけでは感覚がつかみにくいと感じる方には、スターフォーマーによる治療という選択肢もあります。

それでもわからないときの対処法

一人で悩まず専門家に相談する選択肢

セルフチェックや姿勢を工夫しても、どうしても骨盤底筋群の動きがつかめないという方もいらっしゃるでしょう。「今さら相談するのは恥ずかしい」とためらいながら受診される方も多いのですが、お話を伺うと、同じような悩みを抱える方は本当にたくさんいらっしゃいます。一人で抱え込まず、まずは気軽にご相談いただければと思います。

医療機関では、専門的な視点から骨盤底筋群の状態を評価し、一人ひとりに合った指導やアドバイスを受けられます。自分では気づけなかった力の入れ方の癖を指摘してもらえることも多く、相談をきっかけに正しい収縮の感覚をつかみやすくなります。 

動きを自分で意識しにくい方向けの医療機器「スターフォーマー」

自分の意思で動かす感覚がどうしてもつかみにくい場合は、椅子に座るだけで骨盤底筋群を刺激できる医療機器という選択肢もあります。当院で導入している「スターフォーマー」は、高密度テスラ磁気刺激(FMS)によって骨盤底筋群を強制的に収縮させる治療機器です。

自分で意識して動かす必要がないため、「動かし方がどうしてもわからない」という方にも適した方法です。着衣のまま座るだけで施術を受けられ、痛みもありません。

スターフォーマー使用前と使用後の骨盤底筋が鍛えらえれたイメージ
※図は筋肉が支える仕組みの説明用であり、実際の治療結果を示すものではありません
スターフォーマーの詳しい仕組みや治療内容については、以下のページで紹介しています。
👉 スターフォーマーについて詳しく見る

まとめ

骨盤底筋群の動きがわからないのは、構造上、感覚をつかみにくい筋肉であることが大きな理由であり、決して珍しいことではありません。まずは仰向けなど力を抜きやすい姿勢でセルフチェックを行い、「締める」よりも「引き上げる」イメージを意識してみてください。

それでも感覚がつかめない場合は、無理に自己流で続けるよりも、専門家に相談することが改善への近道になることがあります。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

スターフォーマーは自由診療(保険適用外)です。施術費用の目安は1回8,000円〜(お試し1回5,000円、通常価格・コース料金は公式ページをご参照ください)、1コースは週2回×4週間(計8回)が目安です。まれに軽い筋肉痛のような症状が出ることがあります。

また、体内にペースメーカーや金属インプラントが入っている方、妊娠中の方などは施術を受けられない場合がありますので、事前に医師にご相談ください。

なお、スターフォーマー(FOTONA社製)は、日本国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器です。米国FDA(食品医薬品局)の認可、およびEU(欧州連合)での医療機器認証(CEマーキング)を取得しています。当院では医師の判断のもと、個人輸入により導入し、自由診療として提供しております。効果には個人差があり、主なリスク・副作用については診察時に医師が十分にご説明します。

監修者

足立浩幸

足立 浩幸

院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科

泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。