健康コラム
2026.10.16

尿路結石はどんな痛み?部位別の症状と一緒に起こるサインを解説

「わき腹が突然痛くなったけれど、これって尿路結石?」まだ病院を受診する前の段階で、自分の痛みが何なのか不安に感じている方もいるのではないでしょうか。尿路結石の痛みには特徴的なパターンがあり、痛む場所や一緒に起こる症状にも傾向があります。

この記事では、痛みの感じ方や部位ごとの違い、見逃したくない随伴症状について詳しくお伝えします。 

尿路結石の痛みはどんな感覚?

波のように強弱を繰り返す「疝痛発作」

尿路結石による痛みの最大の特徴は、痛みが一定ではなく、強くなったり弱くなったりを繰り返すことです。この痛みは「疝痛発作(せんつうほっさ)」と呼ばれ、数分〜数十分の間隔で痛みの波が押し寄せます。

ズキズキと持続する痛みとは異なり、急に締めつけられるような強い痛みが来て、しばらくすると少し和らぎ、またぶり返すというパターンを繰り返すのが典型的です。

じっとしていられないほどの強さ

疝痛発作の痛みは非常に強く、体の向きを変えても、横になっても座っても楽な姿勢が見つからないのが特徴です。骨折や腹痛など他の痛みでは安静にしていると多少楽になることがありますが、尿路結石の場合は姿勢に関係なく痛みが続くため、じっとしていられずに体を丸めたり、うろうろと歩き回ったりする方も多くいます。

尿路結石の基礎知識(原因・種類・治療法)については、「尿路結石とは?原因・症状・治療法を泌尿器科医が解説」をご覧ください。

痛みが出る部位はどこ?結石の位置で変わる放散パターン

結石がどこにあるかによって、痛みの出る場所は変わります。結石が尿管を移動するにつれて痛みの位置がずれていくこともあり、これが尿路結石の痛みを見分ける手がかりのひとつです。

上部尿管=腰〜わき腹

結石が腎臓に近い上部尿管にある場合、腰からわき腹にかけての痛みが中心です。背中側に強く感じることもあり、腰痛や筋肉痛と間違えやすい場所です。

中部尿管=わき腹〜下腹部

結石が尿管の中ほどまで下りてくると、わき腹から下腹部にかけて痛みが広がります。このあたりで痛みを感じると、腹痛や消化器の病気と勘違いされることがあります。

下部尿管=下腹部・膀胱近くでは頻尿感も

結石が膀胱に近い下部尿管まで到達すると、下腹部の痛みに加えて、頻尿や残尿感といった膀胱刺激の症状が現れることがあります。「何度もトイレに行きたくなるのに少ししか出ない」という訴えが出やすいのはこの段階です。

男性は陰部・睾丸に響くことも

男性の場合、結石の位置によっては鼠径部(そけいぶ)や睾丸に痛みが響くことがあります。これは尿管と同じ神経が支配している領域に痛みが伝わる「放散痛」と呼ばれる現象です。「睾丸が痛いのに泌尿器科で調べたら尿管結石だった」というケースもあります。

部位別の痛みの特徴まとめ

結石の位置痛みの場所特徴的な症状
上部尿管腰〜わき腹(背中側)腰痛と間違えやすい
中部尿管わき腹〜下腹部腹痛と間違えやすい
下部尿管下腹部頻尿・残尿感をともなう
男性の場合上記に加え鼠径部・睾丸放散痛として響く

▶ 結石の場所による痛みの強さの違いについては、「尿管結石と尿路結石の違いは?部位で変わる痛みの強さを解説」もあわせてご覧ください。

痛み以外に一緒に起こりやすい症状

尿路結石の疝痛発作では、痛みだけでなくさまざまな症状が同時に現れることがあります。

吐き気・冷や汗をともなうことが多い

強い痛みの影響で自律神経が刺激され、吐き気や嘔吐、冷や汗、顔面蒼白といった症状が現れることがあります。「お腹の病気かと思ったら結石だった」と話される方もいますが、これは痛みに対する体の反応であり、消化器の異常ではないことがほとんどです。

血尿が出ることがある

結石が尿管の粘膜を傷つけるため、肉眼でわかる血尿や、検査で見つかる顕微鏡的な血尿が出ることがあります。血尿は尿路結石を疑う手がかりのひとつですが、痛みがあっても血尿が出ないケースもあるため、血尿がなければ結石ではないとは言い切れません。

頻尿・残尿感が出る場合も

とくに結石が膀胱に近い位置にあるとき、何度もトイレに行きたくなる、排尿してもすっきりしないといった症状が出ることがあります。膀胱炎と似た症状のため、女性では膀胱炎と間違えやすい場合があります。

なぜこれほど強い痛みが起こるのか

尿管の痙攣性収縮が痛みの正体

尿路結石の痛みは、結石そのものが「刺さって痛い」のではなく、結石によって尿の流れがせき止められ、尿管がけいれん性に収縮することで起こります。

結石が尿管に詰まると、その上流に尿がたまって腎臓側の圧力が上がります。すると体は尿を押し流そうとして尿管を強く収縮させますが、結石が動かないため収縮が繰り返され、これが波のような激しい痛みとして感じられるのです。痛みが一定ではなく強弱を繰り返すのは、この収縮と弛緩のリズムによるものです。

似た症状の病気と間違えやすいポイント

尿路結石の痛みは、場所や症状によっては他の病気と見分けがつきにくいことがあります。とくに以下の病気との混同が多く報告されています。

虫垂炎・婦人科疾患・腰痛症との違い

尿路結石虫垂炎(盲腸)婦人科疾患(卵巣捻転など)腰痛症
痛みの性質波がある強い痛み持続的に悪化する痛み突然の下腹部痛動作で変わる鈍い痛み
痛みの場所わき腹〜背中〜下腹部右下腹部が中心左右どちらかの下腹部腰部
血尿あることが多い通常なし通常なしなし
姿勢との関係楽な姿勢がない動くと痛みが増す姿勢で変わりにくい特定の姿勢で悪化
吐き気ともなうことが多いともなうことがあるともなうことがあるまれ

自己判断で原因を特定することは難しいため、強い痛みが続く場合は早めに医療機関を受診することが大切です。

この痛みが起きたときの対応

まずは無理に動かず安静に

疝痛発作が起きたときは、まず無理に動き回らず、少しでも楽な姿勢を探して安静にしてください。痛みの波が一時的に引くこともありますが、再び強くなる可能性があるため、症状が治まっても油断はできません。

受診の目安

以下のような場合は、早めの受診をおすすめします。

・痛みが30分以上続き、自力で移動が難しい場合
・吐き気や嘔吐がひどく、水分がとれない場合
・38℃以上の発熱をともなう場合(感染の合併が疑われるため、すみやかに受診してください)

深夜や休日で受診先に迷うときは、#7119(救急安心センター事業)に電話すると、救急車を呼ぶべきか相談できます。

▶ 当院の尿路結石の検査・治療については、診療案内「尿路結石症」もあわせてご覧ください。

まとめ

尿路結石の痛みは、波のように強弱を繰り返す疝痛発作が特徴で、体の向きを変えても楽にならないほどの強さになることがあります。痛みの場所は結石の位置によって腰・わき腹・下腹部と変わり、吐き気や血尿、頻尿といった症状をともなうこともあります。

痛みの原因は結石そのものではなく、尿管の痙攣性収縮です。虫垂炎や婦人科の病気と間違えやすい場合もあるため、強い痛みが続くときは自己判断せず、早めに医療機関を受診してください。とくに発熱がある場合は感染の合併が疑われ、すみやかな対応が必要です。


監修者

足立浩幸

足立 浩幸

院長 / 城東鶴見腎・泌尿器科クリニック/泌尿器科・腎臓内科

泌尿器科・人工透析・総合内科・救急科での豊富な診療経験を経て、2025年6月に大阪市城東区にて開業。排尿障害・尿失禁・性感染症・泌尿生殖器癌など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を提供している。